埋めていったものの呼吸を
届ける伝声管の
微かな震えを増幅させる
音叉のような空洞は
かつて
公園の砂場をどこまでも掘っていけると信じていた頃の
錆びてしまった四人乗りブランコが風に立てる音さえ
B5の藁半紙みたいに軽薄で
指先を傷つけることもできない
ただそこに隠れていただけの
遠く褪せていく鉄骨を
震える指で曲げた
そのひとは
家の上に家を建てて
家だったものを失う
新しく生まれ続ける町はいつも
喪失に包まれている

夜はもう来ない?
もう何処へも行かないよ
泣き疲れていたのは
爛れてしまったようにだらしなく伸びた冬の雲
一つ一つ終わらせるように
日の沈みきった町に横たわる影を
無言で飲み込んでいく
だってこのまま
明日はきっと来ない





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