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崩れ落ちるいつもの日常



「あ、おはよう。蓮二。」
「おはよう。なまえ。」


隣の家から出て来た幼なじみの蓮二に声をかけた。
返ってくる低い声に思わず顔が緩む。


「あれ?お姉さんは?いっつも一緒なのに。」
「今日高校は休みだそうだ。」
「あぁ、お兄ちゃんもそんなこと言ってた気がする…。」
「こっちは朝から朝練だっていうのにね。」
「うわっ、びっくりしたっ!」


後ろから聞こえたアルトボイス。


「テニスは楽しいけどさ、正直眠いんだけど。」
「いきなりは辞めよ。」
「精市、おはよう。」
「あぁ、蓮二。おはよう。」
「あ、切原君だ。」
「おっはようございますっ!なまえ先輩っ!今日も美人ッスね!」
「なんにも出てこないよ。」
「いや、そうゆうの求めてないッスから。」
「赤也、ちょっと来い。」
「痛いっ!先輩っ!耳っ!」


「蓮二さっきから全然話してないね。」
「人間観察というものも面白いものだぞ。」
「遠慮しとく。」

「…なまえ、袖のボタンを留めておけ。そしてスカートを少し下げろ。」
「はいはい。」


言われたとおりにスカートをさげボタンを留める。
蓮二の言うことは聞いておけばいいのだ。


「げっ!真田先輩っ!」
「赤也っ!なんだそのだらし無さはっ!たるんどるっ!」


ベシッ


「イッターっ!!」


頬を抑える切原君。
あれは痛いんだろうね。


「おはようございます、なまえさん。…服装も問題ありませんね。」
「おはよう、柳生君。」
「よしっ。じゃあ行こうか。」
「あれっ?幸村チェック受けた?」
「フフッ、俺が誰にチェックを受けるの?」
「蓮二、行こう。」
「俺を無視するなんていい度胸だね。」

「あれ?切原君は?」
「真田に捕まっているのだろう。」
「あ、なまえ。おはよー。」
「なまえーっ。」

後ろからの衝撃に少し前のめりになる。
仁王だというのはだいたい予想がついた。


「丸井に、仁王。あれ?桑原君は?」
「なんか係というなのパシリにされたらしいぜよ。」
「手伝ってこようかな…。」
「いいよ。それよりいこう。」


いつの間にか後ろに立っててあたしから仁王をベリベリ引きはがした幸村。


「う…うん。」


立海テニス部のマネをしているあたしにとって、この会話はあたしの生活の一部だった。
けど、

そんな生活一瞬で崩れ落ちるのだ。

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「お父さんの転勤が決まったの。ダンボールに荷物詰めてね。」




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