淡い果実 | ナノ
 7*

「あ…、や、だ」

全てを晒すその格好に震えた声を出す俺にディオは捕食するように笑った。

「目逸らしたら焦らすからな」

「な、待っ、あァ!!」

パクリ、と。何でもないことのように俺のそれを口に入れたディオを止めることもできず、口腔の温かく柔らかい感覚に溺れる。

舌先でねっとりと裏筋を舐められ吸い上げられれば我慢なんてできない。それでもこちらを見ているディオがまだ、と目で訴えるのを無視することもできず、体内で荒ぶる熱をどうにかして散らそうと無意識に腰を揺らした。

「っあ、あ、ふぅぅ……ん、ッ」

唇を噛んで嬌声を抑えれば咎めるように尿道を抉られ、がくんと腰が抜ける。

「ヒッ、あぁぁぁ、だっ、無理ッ、も、無理ぃぃ」

極度の快楽に泣きながら顔を悩ましげに歪めたその表情にディオは仕方ないと苦笑すると根元から手を離しグッと吸い上げた。

「ッあぁああ、やっ、」

口の中に放出するのだけは避けたくて必死に我慢しようとする俺に追い討ちを掛けるように尿道をぐりぐりと抉られる。

「ッ、」

最早声も出せないほどの刺激にそれを堪える術など知らない体がビクンと一際大きく跳ねれば、ディオは難なく押さえつけながら更に吸い上げた。

ジュル、と水音が立つのに加わりまだ放出しているというのに尿道を弄る舌は止めないその手腕に、意識が遠のいていく。

「ぁ…ぅ、」

最後の一滴まで搾り取った口が離れる頃には、ぐったりとベッドに体を預けきり横たわることしかできなかった。ゴクリと出したモノを飲む音は聞こえていたがそれについてどうこう言うような気力はない。

「やっぱ濃いな。溜まってたみたいだし。つーか、大丈夫?」

ぐったりとシーツに身体を投げ出したまま疲れ切ったように目を閉じていた俺の頬を軽く叩いたディオに、仕方なく目を開ける。

本当なら寝てしまいたいところだがそれでは意味が無い。

「…も、早くしろ」

「ちょっと我慢しな」

言いながらうつ伏せで腰だけ高く上げる体勢を取らされ、体が強張る。思わず背後を振り返ればディオは安心させるように微笑んだ。

「平気だから、力抜いてな」

「…つ、めた」

たらりと冷たい感覚に身を竦ませた俺に笑いながらディオはそっと指を這わしていく。

「っ、ぅ…ぁ、気持ち、わる」

つぷ、と指が埋められた途端襲ってきた感覚に顔を歪めるが、そんなことでディオがやめるはずもない。そもそもこんなところで気持ちよくなるとかありえない。どんな性癖なんだよ。

グチュグチュと水音を立てながら中の手を動かされ、その度に怖張る体から力を抜かせながらディオは丹念に後ろをほぐしていった。

「ひあっ、…な、に?」

そこをいじられてからどれだけ時間がたったのだろう。指は三本ほど銜えているだろうが一向に奥はいじらなかった男が突然そこをいじり出した。

「ん、ここ?」

「や、ああぁああ!!!」

ぐりぐりと同じところを弄られ魚のように腰が跳ねる。感じたことのない刺激に頭が働かず、そばにあった枕に必死でしがみつく。

「これ、前立腺な。ウィラのイイところ」

「ひんっ、あ、知らなっあ、」

「すげえ反応」

微かに笑うディオが優しく頭を撫でるから馬鹿にしてるわけではないとわかる。それでも感じてる様を指摘されることは恥ずかしいことに変わりない。

「い、ああっ、や、そこ、やめっ」

「だーめ、解してるんだから」

「あっ、ああっ」

明らかに解しているような動きではないが重点的にそこを責められてしまえば何も考えることなどできない。

「っ…ふ、ぁ」

「…そろそろか」

どのくらいたったのだろう。前立腺をいじり倒されディオの腕がなければ崩れ落ちるまで責められ、もともと疲れきっているこの体ではもう声すら出すことができない。

「ウィーラ」

「っ、ぁ」

「大丈夫だから」

はしたない水音を立てて抜けた指を追うように自分の意志とは関係なく引くつくそこが浅ましく思えて唇を噛む。それを咎めるように俺の体を反転させたディオは甘やかすように頭を撫でながら、深いキスを繰り返した。

「力抜いてな」

何度もされたキスに思考が途切れくたりと力を抜く。いつの間にかボロボロと流れていた涙を舐め取られ、それと同時にぐっと熱いものが押し入ってきた。

「っ、ぅ…ぁ」

指とは違う絶対的な質量に眉を寄せた俺を宥めるようにキスが降ってくる。気を紛らわせるように何度も触れる唇は慈愛に満ちていた。

「や、痛っ、」

「もうちょいっ、…ほら、入ったから」

息を詰めながら言ったディオに泣きながら縋り付く。もう、何も分からなかった。ただ、目の前の存在に掴まっていなければ消えてしまう気がして必死に手を伸ばす。

「ん、」

ぐっと手を引かれて力のない体を引き上げられる。ディオの上に座り込む形になった俺はすぐにそれを後悔した。

「…ぁ、お、奥…やだ」

「あー、うん、大丈夫だから」

自重でさらに深く沈みこんだせいで体の奥まで入り込んだ熱が怖くて更にしがみつく。理性なんてとうの昔に飛んでいってしまった。

「ほら、ちょっと緩めて。キツい…」

「や、わかん…な」

いやいやをする幼子のように首を振れば、男は苦笑してからそっとキスをしてくる。入り込んできた舌に翻弄されながら力の抜けていく体はさらに深く入り込み、それが怖くてたまらない。

「んん、ふぅ…ぅん」

「っは、痛くないか?」

「や、あつ、熱い…っ」

「じゃあ動くぞ」

痛くないならと軽く腰を揺すれば、驚いたのか小さな体がびくりと跳ねる。

「…ぁ、待っ」

「これ以上お預けとかふざけんなよ」

「ひぁぁああ、や、あっ、」

揺らすだけだった腰が軽い律動を刻み、それが深くなるまではそう時間はかからなかった。浅い所から前立腺を狙いながら一気に奥まで入り込む熱に呼吸すらままならない。

仰け反る背中を支えながら首筋に噛み付く獣をどうすることもできずにただそれを受け入れる。

「あっ…や、待っ、あぁああ」

「まだイクなよ?」

「ぅぁ、」

放出を遮るように再び押さえつけられた根本が苦しくて、それでも前立腺を攻めることをやめないディオに泣きながら縋り付き、その背に爪を立てる。

「っ、痛…」

耳元で掠れた声が聞こえて漸く気づく。体のコントロールがきかない今、俺はきっと半獣化しているのだろう。

耳と尻尾だけじゃなく爪も牙も通常よりかなり鋭くなっているに違いない。狼の爪は相手の皮膚を切り裂くためのもの。それをディオに突き立てていると解ったってもう遅い。

「ゃああ、ふっ、んんぅ、」

「…たく、あんまり力入れんなよ?」

微かに笑ってそう言ってくれたディオは俺を好きにさせるつもりなのだろう。そのまま深い律動を繰り返されて体に力が入っていく。

「ひあ、あっ…んぅ」

ぐっと肩口に噛み付いて来たウィラは無意識なのだろう。全身でしがみついてもまだ足りないのか、それほどに怖くて同時に気持ちいいのか。鋭い牙が容赦なく皮膚を切り裂くが俺だって吸血鬼だ。この程度のことなら一瞬で回復できるし問題はない。それよりも、必死にしがみついて悶えるこの子供を早く楽にしてあげなければならない。

「ぅん、っ、ふっ」

「は、そろそろイキたい?」

俺の手によって根元を握られたウィラの性器からはとめどなく先走りが溢れている。中を抉りながらそれを扱いてやればびくりと体が跳ね、ぐちゃぐちゃと水音が立つほど濡れた。

「…っ、ぁぅ」

言葉にならない訴えを聞いて苦笑しながら律動を早くする。ウィラが感じやすいように前立腺だけを狙うようにすれば強過ぎる快感にか、ウィラはぐっと仰け反った。それを支えながら押さえていた根元から手を外し裏スジからカリを刺激する。

「ひっ、や、っ」

「イキな」

唇をぎゅっと噛み締めながらようやく出た許しに、大きく体を震わせ精を吐き出したウィラの、煽動する中の動きに身を任せ同じようにそのまま中にすべてを吐き出す。

「っは、」

「…ぁ、あぅ、ん」

体の奥底に感じた熱に何度か体を痙攣させながら、力の抜けきった腕が外れる。重力に従い背後のベッドに倒れ込みそうになった身体を支えた力強い腕がそっと抱きかかえてくれたのが遠い意識で分かった。

「…おやすみ」

優しい声が届くと同時に俺はそのまま意識を失った。

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