過去拍手お礼2


「……だから言ったのに」
ぽつり、と呟いた言葉は、残念ながら誰の耳にも入らない。
嗚呼、本当に残念。

すやすやと寝息を立てるレッドの方を見て、思わず苦笑いした。
先ほどまでの苦しげな顔がまるで嘘のようで、
それが嬉しくもあり腹立たしくもある。

『レッドが倒れた』

そう聞いたとき、どれだけ驚いて不安になって怖かったことか。
ジムの仕事で手が放せないグリーンの代わりにと、
周囲を押し切って飛んできて正解だった。

「ん…ピカチュウ……?」

レッドが寝言を呟きながらゆるりと寝返りを打つ。
こんなときまでポケモン一筋。
本当、嫌な人。

私がこうして夜通し看病してあげていること、あなたは知らないでしょう。

唇を尖らせてため息をついた。
なんだかこちらの瞼まで重くなってくる。

私はついに睡魔に逆らうことをあきらめて、
レッドの横たわるベッドの端に自分の頭を乗せた。
こうしていれば、またひどい熱が出たりしたらすぐにわかる。

目を閉じれば、引き込まれるような気分で眠気が襲う。

「ん…ピカチュウ……」

再び同じ言葉を、レッドが呟いたのと同時に
私の意識も眠りのそこへと沈んでいった。

(「ありがとう、って、俺の代わりに伝えて、ピカチュウ……」)









拍手ありがとうございました!

~10/7/17

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