07:音に溺れたお姫様 11 / 11 自分の頬に触れて隠すように包み込む。 何でだ。マネージャーになりたいーって興奮したのか。変なの。 登くんはどこか楽しそうで。 首を少し傾けて目を細めた。 「ちょこっと囁いただけで真っ赤になるの、男慣れしてないんだぁ」 はっ、それで赤くなったのか私! 確かにくすぐったいなぁとか思ったけれど。 「かわいー」 楽しそうに。 登くんは玩具を見つけたかのように、口元で弧を描いた。 あれ、あれ。 「あは、また赤くなる。星尾さん可愛い」 意外と登くん、性格悪いのですか? いわゆる草食系男子だと思っていたのですけれど、あなたは加虐嗜好なのですか?いじめるのはやめてください。 のんちゃん、と香月くんが目の前の男の子を呼ぶ声が聞こえる。 「じゃあ、またね。今日は来てくれてありがとう」 登くんはにっこり笑って私に手を振り、3人の方へと歩いていった。 私も真麻の元へと戻らなければ。だいぶ待たせてしまっている。 まだ赤いかもしれない頬をぺちりと叩いて、私は歩き出した。 <next story*お弁当と主夫とわんこ> ≪≪prev しおりを挟む back |