23:弱虫騎士と悪役少女 2 / 7

 にっこりと、そう告げる。
 騎士みたいに似合うのは、綺麗な金髪のお陰なのだろうか、純粋で真っ直ぐな性格故だろうか。

 何やら周りの視線が痛い。
 灰葉くんと仲良くするなオーラかな、慣れた方が良いのかなこれもう。
 今更香月くんと距離を置けなんて言われたって置けっこないもん。友達と距離を置く必要なんてないし。なんて開き直り気味。



「あら、美幸ちゃん」



 ふ、と昨日聞いた声が私に伝わってきて、思わず体を強ばらせる。


「誰?」

 香月くんがきょとりとした表情で首を傾げた。
 そっか、知らないのか。


「葛原、先輩……」
「昨日はごめんなさいねぇー、謝りたかったのよぉ。うちの子が悪いことしたなって」
「昨日……! み、美幸ちゃんに近寄らないでください!」

 ワードに反応した香月くんが私と葛原先輩の間に立った。
 がるると、警戒した犬のようだ。

 そろそろ、昼休みも終わる時間だ。
 葛原先輩は、くすりと妖艶に笑った。嫌な感じ。


「あらあら、番犬かしらァ? 可愛いのね、香月ちゃん」
「可愛っ……俺は男だしあんたと身長も変わらない!」
「そう見た目のことを言い出すところも子供みたいで可愛いわぁ」



 何を言っても可愛いと言われた少年は「うぎぎ」と苛立ちを感じているのが後ろ姿からも感じて取れた。それもちょっと子供っぽいなんて、思われてそうで。

 葛原先輩は伏せ気味だった瞼を開いて、香月くんを見据える。
 

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