18:メランコリック 2 / 8

 私は彼の表情を伺ってみる。
 ニコニコとあまり読めない表情だ。
 イケメンのオネェさんは私の右手を掴んでにこりと笑顔を作った。


「あなた、フェアリーテイルと仲良いんですって?」
「えっ」


 この人もフェアリーテイルのファンなのかな?

「ちょうど良かったわぁ。あたしについて来てくれるかしら?」

 何がちょうど良いのか。
 オネェさんに引っ張られていく。あぁ、お昼が買えなくなってしまうじゃないか。

「わっ、私を誘拐してもフェアリーテイルとは仲良くなれませんよ!?」

 私の言葉に彼は笑った。

「いいわよ、そんなの。仲良くなんてなりたくないわ」

 えっ、違うの。ファンじゃないの。
 じゃあ一体何なのだろうか。身代金を要求したって学生だからそんなに払えないしそもそも魚住先輩くらいしか反応してくれないと思いますけれど。

 そんなアホなことを考えていると左腕が後ろからふいに引っ張られる。
 強く引っ張られた私は、ぼふりと誰かの胸の中へと背中からダイブする。


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