18:メランコリック 1 / 8


 恐らく音程が外れているであろう鼻歌を奏でながら歩みを進める。
 今日のお昼は購買で買おう、何を買おうかな、なんて。


「あなたが星尾美幸ちゃん?」

 突如聞きなれない声に名前を呼ばれて鼻歌を止めた。
 聞かれていただろうか、恥ずかしい。

 振り返るとそこには身長の高い、長い栗色の髪の毛を一つに束ねている男の人が立っていた。ネクタイの色からするに三年生だ。
 名前も声も見た目も見知らぬその人に声をかけられて体が強ばる。

 それに気付いたのか、彼はくすくすと笑った。

「あらやだ、緊張しなくてもいいのよぅ」


 あっ、オネェだ。
 イケメンのオネェだった。



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