16:毒吐少女とお人形 1 / 8

 駅前で待っていろと言われたのだけれど。私は既読の付かないメッセージ欄を眺めた。

「美幸ちゃーん、おっはーん!」

 突然、後ろの改札口から現れたのは香月くんで、予想外の人物がいた事に私は息をつまらせる。


「か、香月くん!?」
「はぁーい! 香月くんでーす!」

 私服も相まって見た目は大人っぽいのに相も変わらず彼の言動、行動は子供っぽいなぁ、なんて笑いそうになる。
 私の表情を見て、香月くんはよく分かっていないままへにょりと笑った。


「おはよう。香月くんも弥生先輩の所に行くの?」
「そうだよー。お友達作りが苦手な子に対してはこのコミュ力の塊、灰羽香月くんが手を貸しましょう!!」

 確かに。
 香月くんはお友達いっぱいいるし、そういうのが得意なのだろう。


「おめぇはうるせぇだけだろ」

 呆れたような、馬鹿にしたような声が聞こえる。
 普段のパーカーではないものの赤を基調としたカッターシャツを身につけた弥生先輩がそこにはいた。

 手を繋いでいるのは、小さな女の子。
 やけに色白で、綺麗な薄いマロン色の髪の毛がさらりと流れる。



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