15:シュガーレスキャンディ 3 / 10 「えっと、これ友達の! 私のじゃないよ」 「友達」 ふぅん。そう言いたげな彼は視線を逸らす。 静かになったそこに、ぱたぱたと足音が聞こえてきた。 「ごめん星尾さん、ありがとう……」 ぴたり。登くんの足が止まる。 視線が御小原くんに向いたまま、止まった。 「はぁ、友達、ね」 そう呟いた御小原くんの表情は、見たこともない笑顔で笑っていた。 いやに寒気がする、笑顔。 机から教科書を取り出した御小原くんは歩き出す。 登くんの横をすり抜けていった彼は「じゃあ」と言って歩いていく。 「友達?」 私の言葉に、登くんが顔を上げる。 不自然に口元が、吊り上がった。 あぁ、今笑顔作った。 ≪≪prev しおりを挟む back |