11:手を繋いで 7 / 8 店内に流れる音楽が耳に入る。 あぁ、今売り出し中の曲だ。私このアーティスト大好きなんだよね。 「この曲は?」 「ん?」 「風馬スバルの『スターライド』……でもバンドの曲じゃないから駄目かな」 曲、ギターとかドラムじゃなくて、パソコンで作ったようなぴこぴこ音っぽいし。 「んー、良い曲だねぇ。人気なら楽譜あると思うけど……元の楽器音ないなら自分たちでアレンジしてもいいかもね」 「アレンジ?」 って、自分で音考えるの?難しくない? ……でも作曲とかしてるらしいし、皆ならできるのかな? 「はにわちゃんといっつもやってるよー」 楽譜を眺めて、個人的に好きらしい曲の楽譜と丁度置いてあった風馬スバルのCDを手にとって香月くんはレジへと向かっていく。 会計の間周りを見渡して、弾けもしないのにキーボードに触れてみて音を出してみる。 「お待たせー」 満足げな香月くんが私の手を再び引いて店を出た。 ≪≪prev しおりを挟む back |