……なにこれ。

難しいにもほどがある。




静かな中筆記音がちらほら聞こえてくるから、焦りが増す。



一定時間をすぎた後に田中先生は手を叩いて「時間だよ」とテストを集め始めた。


ホームルームの時間になんでテストなんか。
ちらりと後ろを振り返ってみれば不満を持ったクラスメートの顔がよく見えた。




「今日から私のクラスになった君たちには、私の言うことを聞いてもらいましょう」


集めたテストの答案を最初と同じように教卓にばさりと投げるように置いてクラス全体を見渡した。





「席は成績上位者から前にいれていきます。こんな風に」


田中先生は手で空をなぞっていく。前からジグザクに入れていくという。
最下位は……クラスの端っこ、窓側の最後列。


……普通逆じゃない?
悪い人ほどみんなが嫌がる前の方になるものだ。




「先生!普通逆じゃないですか?成績が悪い人が前で授業をしっかり聞ける体制をとるべきなんじゃ……」


私の後ろに座っていた男の子が手を挙げてそう控えめに言った。
真面目そうなその子は、いつも上位に名を連ねている……名前はたしか東雲。


自分が前の席がイヤだというわけではなく、クラスメートを思っての発言だったようだ。




私は成績が悪い方だけれど、前の席は嫌いだから好都合かなー。




田中先生の視線がこちらに向いた。
向けられた笑顔に寒気を覚えた。



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