3-1:お買い物をしましょう[ 3/11 ]


 ニコニコ……怖い!


「忙しいから、離して、起きろ」
「あ? しょうがねぇな」


 離してくれる。そう思った瞬間だった。



 ちゅっ。




 軽いリップ音が、響いた。


「……っ!!」



 驚きと恥ずかしさが重なって、私はベッドから落ちた。
 重い音が響く……体重重くなんかないもん。



「大丈夫か?」


 喉を鳴らして笑いながら玲は手を差し出した。
 私は、その手を思い切りはたいてやった。まるで反抗する猫のごとく。



「何すんだよ」
「そのままその台詞返す!」
「んだよ! 唇じゃなくておでこじゃねぇか!」
「玲、味噌汁のみ」



 ほかは全部抜いてやる。
 お米も魚も没収だ。 味噌汁もらえるだけでもありがたく思いなさい!


「え……それはなしだろ。訴えるぞ、虐待的な何かで」
「そしたらセクハラで訴える」

「俺さ、セクハラって言われるまでのことした? キスだぜ? おでこだぜ? 挨拶だろ?」
「した。そんなに挨拶方法をキスにしたいならアメリカ行けエロ王子……早く着替えれば」




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