2-2:雨嫌いsideK[ 1/9 ]

 華が、悲しそうな顔をした。
 玲の「いらねぇ」一言で。

 華が来ると知らされた時に理事長から聞いた話はこうだった。


 華の両親は離婚してて。
 母親は少し前に他界。
 父親は行方知れず。
 離婚する前でも、両親共に仕事優先で家には華1人だけだった。


 彼女は、ずっとずっと、ひとりぼっちだったのだ。


 俺は
 料理作っても、誰にも食べてもらえなかったんだろうな、とか。
 離婚するってことは家の状態も良くなかったんだろうな、とか。
 珍しく家にいても「いらない」って返されてたのかもなとか、考えちゃうわけで。

 深く考えすぎなのかもしれねぇけどさ。


 そりゃ、言われたくねぇよな。
「いらねぇ」だなんて。


「なんだよぉ。せっかくオムライス作ってもらったのにさぁ……」


 裕太の口から文句がこぼれる。

 そういや、昼に喧嘩してたらしいな。なんで出会って早々喧嘩するんだよ仲良くしろよお前ら。

 オムライスは玲の好物。
 2人を仲直りさせようとした、裕太なりの優しさ。

 俺は裕太の頭をぽふりと撫でる。


「なに平川。キモイ」
「そういうこと言うなよ……まったく」


 反抗期のおこちゃまだらけか。
 ここは、俺が行きますかね。

 俺はゆっくりと玲の部屋に向かう。




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