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またのご来店お待ちしております

■常連様のみお持ち帰り可

「名前ちゃんとペクって付き合ってるの?」

「っへぇえ!!?な、何言ってるのソク君!?」

「ペクに聞いても相手にしてくれないから、名前ちゃんに聞こうかなって」

「…つ、付き合ってないよ。決まってるじゃない」

「そっか、意外。ペクって割に周りと淡泊な付き合いしてるっぽいけど、
名前ちゃんとはずっと関わってるからてっきりそういう仲なのかと」

「…私、店の手伝いばっかりであんまり同い年の子達と関わらないんだよね。
 それに比べるとペクはよくお店にきてくれるからよく話すし、
 寂しさもあんまり感じないし、…た、楽しいし。
 そういう意味では好き、だよ」

「(うーん、これは…俺は望み薄かな…)」

「…、あのさ、ソク君」

「うん?」

「ソク君、よくペクの事見てくれてる感じがするから言うんだけど…。
 ペクは割と全方位に態度も口も悪い所はあるけど、自主練とかもずっとやってきて
 実力はあるから…嫌な奴って思い込まずに一緒にプレーしてやってね」

「名前ちゃんはやっぱり歯に衣着せないよね…。
 うん、勿論。韓国代表は皆 一丸、仲間だよ」

「後、今さっき言ってた事はペクには言わないで!
 恥ずかしいし『ボッチ』とか言われてからかわれるの目に見えてるから!」

「はは、分かったよ。言わない、名前ちゃんの頼みだからね」


―――カラン・コロン♪


「いらっしゃいませ…っペク!!今日は遅かったね!?」

「っ!?何だ、いつもよりでかい声出してんじゃねーよ名前、驚くだろうが…っ!?」

「やぁ、ペク。お先に」

「…ソク、てめぇ…。この前から何 俺の事嗅ぎ回ってんだ?」

「嗅ぎ回るって…。
 チームメンバーの事知った方が連携が強くなるかなと思っただけだよ。
 これは本当だ。名前ちゃんの方が俺よりペクの事を知っているから、
 好きなメニューとか聞いてたんだよ。
 一緒のモノを頼んで食べたら深まる理解もあるだろ?」

「そんな理解、試合で何の役に立つ。必要なのはプレーの得手不得手の把握と統一だ。
 レッドバイソンの名に恥じねぇ力強さと連携が勝ちを生むんだよ」

「ペク…」

「フン、今日は虫の居所が悪ィ。帰る」

「あっ!?ちょっとペク、待ってよそんな言い方…!」

「何だよサッカード素人」

「…、…何でもない…けど…。…勝手に来ると思ってたから定食用意しちゃった。
 容器とかに詰めて弁当にする…?」

「…早くしろよ。金は次来た時払うからツケとけ」

「(仲良しだな〜〜)」




■ここだけの話

「…名前ちゃんはいつもペクにあんな感じの言われ方してるの?注意しとくよ」

「いや、良いよ。
 私がもっとサッカー知ってたらもっとペクは楽しんだろうなって思うけど、
 今は自分の事で精一杯だからその努力もしてないし。
 やっぱりプレー経験してるペクの言う事の方が正しいんだろうなって思うし…
 そもそも私が口出しする事じゃないし」

「…。お店の店員とお客さんって関係もあると思うけど、
 それ以上に名前ちゃんはペクの事大切にしてるし
 ペクも君がそう思ってくれてるってよく分かってるんだろうなぁ」

「そう、かな…大切に出来てるのかな。口喧嘩しかしてない気がする…」

「遠慮がなくて良いんじゃないかな。
 気兼ねなく言い合えるから居心地よくてペクもお店に来るんじゃない?
 名前ちゃんに会いに」

「私に?空腹満たしに来てるだけだと思うけど、
 ソク君がそう言うなら…そう思っておこうかな」

「そうだよ、きっとね。…じゃあ、俺も行くよ。
 ご馳走様でした、お会計お願いします」

「はい、畏まりました」




「(…会いに来てくれる、かぁ…本当にそうだったら良いのにな)」

「(ソクの野郎…余計な事名前に吹き込んでねぇだろうな…。
 クソ、更衣室で一緒になったのは不味かったか…使徒として動きづらくなる…)」




■予選に向けて

「なぁペクー、アジア予選の事何か聞いてるか?」

「初戦って日本なんだろ?調整はありそうか?」

「…さぁな。直接聞いちゃいないが、様子見てからじゃないのか。
 アジア圏内では日本はまだサッカー発展途上国だからな」

「ま、向こうも使徒が入ったらしいしフツーの試合になる事もあるかもな」

「寧ろ、不戦勝だったりしてな」

「…ごちゃごちゃ考えても仕方ねぇ、この話は終わりだ。
 あんまり無駄話しててキャプテン様に余計な事されても動き辛ぇ」

「くくっ、本当にソクの事嫌いだよなぁお前ー」

「名前ちゃんだっけか、店員の子と仲良いもんな」

「うるせぇよ」



「ーーー…おーい、そろそろ練習再開だ!皆集まってくれ!!」
「「おーっす!!」」



「…調整なんか必要ねぇ。そんな事しなくても試合に勝つのは俺達だ」





■そして、未だ帰らない

「…日本に出発する前日も普通に食べに来るんだ」

「対戦相手が変わるだけで別にやる事は変わらねえからな。
 それよりもしばらくここでメシ食えねーし…飯とスープもう一杯ずつ」

「ハイハイ、よく食べるなぁ本当に…見てて気持ち良いもんね」

「食わなきゃ体が出来ねぇ、体が出来なきゃ勝てねぇ。単純だ」

「…そっか、大切な部分をここでやってく訳ね。
 じゃあ帰ってきたら体を休める料理、食べに来るの?」

「世界一を持って凱旋するんだ、サービスしろよ」

「えっ…、…、…良いけど…大きく出るよね…。
 まぁ、それぐらいの気概じゃないと勝てないんだろうけど!」

「っ良いのかよ…と言うか、何だその間は」

「いや、ペク一人分くらいなら私がご馳走出来るかなって」

「…、…、…メシの金は自分で出す…」

「何それ、折角 人が乗り気なのに…」

「代わりにお前の1日を俺に寄越せ」

「え…っ」

「…嫌なのか良いのかはっきりしろ」

「その、ペクが良いなら良いけど…、
 普段メチャクチャ悪態付いてる私と遊んで面白いのかなって、ちょっと思う…」

「良い。…約束したからな、破るんじゃねぇぞ」

「…うん。分かった」

「他の奴と似たような約束もするんじゃねぇぞ」

「分かった」

「…よし。じゃあ、帰ってきたら連絡する」

「うん。店の用意もあって見送りに行けなくてごめんだけど…ペク、頑張りなよ!
 ペクは口も態度も悪いけど実力は本物なんだからさ!」

「お前、マジで口の減らない女だな」

「ゴメン」

「…、別に悪くねぇ。…後な」

「うん?」

「…この前はキツくあたって悪かったな。イライラしてたんだよ」

「…良いよ、いつもの事だから気にしない」

「はッ、そうかよ」





「…名前、最近機嫌良いわね。何かあったの?」

「え?…うん、今度ペクと遊ぶ約束してて。
 イラッてする事もあるけど何だかんだ一緒にいて楽しいから、
 凄く楽しみにしてるんだ〜」

「そう、だから前より料理手伝ってくれるの?優勝祝いのご馳走とか作るって事?」

「そ、れは…こんな事言ったらペクは怒るだろうけど、勝っても負けても良いんだよね。
 ただ店のご飯は好きって思ってくれてるんだったら
 お疲れ様って労ってあげても良いかなって…本人は要らないって言ってたけど」

「そうねぇ、国を背負ってサッカーしに行くんだもんね」

「うん。…飛行機とか乗るし、無事に帰って来たら良いな」


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