14.初雪





こめかみをいくら押しても襲い掛かる頭痛。
久しぶりの偏頭痛に我慢ができず、頭痛薬を鞄から取り出し、口に放り込んだ。


「ユナさん、頭痛ですか?」

「うん。なんか今朝から頭痛がして。」

「頭痛に効くつぼ押しますか?」

「ホントに?ありがとう。」


私はメイクさんの好意に甘えて、椅子に腰掛けたまま目を閉じる。

こめかみ、そして頭にかけて、ゆっくりと揉み解されていく。

硬くなっていた皮膚に血液が通いだしていく感覚。

指の先からほのかに温かくなり、力が抜けていった。

うつら、うつらと途切れそうになる意識の中で、聞きなれた声が耳に飛び込んできて、私はまぶたをゆっくり開いた。

ちょうど、ジュンスとジェジュンさん、ユノさんがメイク室に入ってきたところだった。


「おはようございます。」

挨拶をした私に、不思議そうな顔を浮かべるジュンス。

頭痛のことだとすぐにわかり、私は「偏頭痛なんだ」と言った。



私の言葉が終わるタイミングと同じ瞬間に、ジュンスは立ち上がったので、今にも走り出しそうなジュンスに早口で「大丈夫、頭痛薬は飲んだから!」と伝えた。

私の言葉にジュンスは「じゃあ、飲み物買ってくる!」といって出て行ってしまった。


そんな私のやり取りを見て、ジェジュンさんとメイクさんがクスクス笑っている。

メイクさんが「絶対ジュンス君はユナさんのこと好きですよね〜?」と笑いながらジェジュンさんに聞く。

ジェジュンさんは読めない笑顔で「どうだろうね」と答えた。



「私たち、幼馴染なんです。それ以上でもそれ以下でもないです。ジュンスがちょっと心配性なんです。」


そういうと、メイクさんは疑り深く「え〜」と続ける。

「ほんとうですよ。ジュンスとジュノオッパと三人、兄弟みたいで、なんだか私が末っ子みたいな扱いをされているので、心配性のお兄ちゃんが二人いるみたいな。」

「あんなイケメンのお兄ちゃん、うらやましいです〜」


笑いあう私たちにジェジュンさんは「ジュンスがお兄さんとか、しっくり来ないな〜」と一緒に混ざって笑った。





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