9.満月の夜に






気分転換にと外へ出かけた。


行き先は先日、川田と一緒に出かけたあのバー。


あの日は川田のあわただしさと、飲みすぎたお酒の影響でゆっくり店内を眺めなかったが、今日こうやって改めてみると比較的一人でも入りやすい、綺麗で薄暗い店内。


カウンターとボックスシート、奥に個室がいくつかある夜景の綺麗なバー。





私はカウンターの腰掛けると、シャンパンを注文した。


私の大好きなお酒の一つ。


だけど、ここのはちょっと甘すぎる。



甘いシャンパンを口に含みながら、頬の内側から喉への刺激が移動していくのを感じ、綺麗に並べられていたお酒おボトルを眺めていた。



綺麗な夜景を瞳に映しても
照明でキラキラ光るグラスを瞳に映しても



頭に浮かぶのは彼のこと。


重症だな。



何が重症って、別に触れ合ったわけでもない。
キスを交わしたわけでもセックスしたわけでもない。

2、3回の会話で無意識にこんなに奥くまで入り込んでいたことに驚かされる。



そして細胞の隅々まで入り込んでしまった彼を確認する作業が、さらに思いを募らせる。




彼は本当に何者なんだろう?











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