5.二度目






―――


「先生!連載好調ですよ〜!もう、私うれしくて!」


「初めての韓国だからうれしいんじゃなくて?」






私はリビングで落ち着きなく腰掛ける担当の川田美紀に一瞬目をやる。


彼女は始めて作家付になる25歳の新人編集者。


私といくつかしか変わらないのに、彼女は若くいつもキラキラと輝いた瞳をしている。



正直、彼女から自然とあふれ出るキラキラしたオーラが苦手だった。




「違いますよ〜!私、はじめに先生の連載を反対した上司に今は胸を張って言えるんです!どうだって。」




まるで自分のことのように喜んでくれ、私の連載が乗っている雑誌を自慢げに掲げる。







25歳〜30代前半のF1層向けの月刊ファッション誌。



そこに私は数ヶ月前から長期連載をしている。


若い女性が好む、ライトでちょっと切ないラブストーリー。


まだ先だけどきっとエンディングはハッピーエンド。







「ガーデン」というカフェを舞台にしたアラサー女子の恋だ。






「たまたまよ。それに大して功績も挙げてない新人作家に、売れ筋雑誌で長期連載を任せるなんてリスクが大きいもの、編集部の人たちの言っていることはもっともよ。」









私が苦笑いを浮かべると唐突に声を張り上げ「先生!大好きです!がんばりましょう」と言う川田。




こんなまっすぐなところも少し苦手だ。


私は外行きの顔で彼女にコーヒーと次回原稿を手渡した。



「はい原稿。読んで。その間、私少し外出してくるわ。」



「1時間もあれば終わります。」



「少しの間よろしく、じゃあ1時間ちょっとで帰ってくるから。」




そういって、私は彼女を包むキラキラするオーラが充満した部屋から逃げ出した。

















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