ヴィドロ



行方知れずの蛍が鳴いた
指を切ったきっかけのこと

知らないほうが美しかったと
窓を閉めた貴方が云った

錆びた睫毛 紫の頬
立てた爪が毀れて落ちる

花を飾れ 花を飾れ
私一人 ビイドロ遊び
花を千切れ 花を千切れ
こんな粗末な貌はいらない

翅の縺れた蛍が鳴いた
足を切ったきっかけのこと

真昼の影に逃げ出したのは
煤に塗れた子供の唄

月の寝入り 橙の火を
いっそ指に燈してみても

花を飾れ 花を飾れ
貴方一人 ビイドロ遊び
花よ契れ 花よ契れ
こんな永遠 誰も要らない

花を飾れ 花を飾れ
翳ろう二人 ビイドロ遊び
花を燃やせ 花を燃やせ
灰に戻ってここで笑おう

花を飾れ 花を飾れ
私一人 ビイドロ遊び
花を千切れ 花を千切れ
こんな粗末な唄もいらない



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