少女A



風の冷たい夜だねと
解ったみたいに君は言う
私はそれを聞き流して
今はもう陽の沈んだ街

固く結んだリボンから
緩め出したら終らない
止め金壊したスカートが
脚を晒して羽ばたいた

可笑しいのかもね
私も君も
鞄の中には何もない
何処に行くの?
歩きたいだけだよ
それでも
耳に刺した音楽だけ
ave maria

月が在るなら夜だねと
解らないのに君は言う
私は影を踏み潰して
今はただ陽の沈んだ街

鋏で揃えただけの髪を
結んだゴムなら
切れてしまった
右足出したら左が沈んだ
アスファルトは黒いだけ

息はしてるよね
君も私も
何もかもを
忘れたわけじゃない
誰を見てるの?
人なんか見ないよ
それでも
君に聴かせた音楽だけ
ave maria


何がしたいの?
溶け込みたいだけだよ
この街に
形だけ同じでいたい

何処に行くの?
歩きたいだけだよ
右が沈む前に
左を出さなきゃ
なんてね


気は確かだよね
私も君も
空は飛べないことくらい
解っているもの
何処に向かってるの?
考えたくもない
それでも
耳に刺した音楽だけ
ave maria

胸に秘めた音楽だけ
ave maria
ひとかけらでいいの
崇高なこころが欲しい



少女A




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