神の子隠しの絵本



手にした絵本の隙間から
ひとつの風が吹くだろう
夜毎君の頬を撫で
お出でと手招く風が

手にした絵本の隙間には
ひとつの扉が在るだろう
僅かに開き君を誘う
お出でと笑う扉が


金の表紙を開いて
迷い込んで森の奥
月が出たなら朝は遠いよ
君の瞼に何が見える


手にした絵本の隙間から
ひとつの花が云うだろう
夜毎君の夢に咲き
お出でと葉を揺らし

手にした絵本の隙間には
ひとつの扉が在るだろう
光を漏らし君を誘う
お出でと軋む扉が


次の頁を捲って
迷い込んで泉の底
鏡が在るならそれは幻
君の瞼に何が視える


お出でお出で
誰に呼ばれて
此処へお出で
君は何処に此処に



金の表紙は閉ざされて
僕は僕で在り僕を見失う





神の子隠しの絵本




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