大陸リブル・ラグル

針金堂を後にしてすぐ、宿を探しにかかった。私としては野宿でも構わないのだが、それをするにはこの大陸は些か発展しすぎているのである。小さな店が軒を連ねる商店街を東へ抜けると、ちょうど一休みできそうな木陰を見つけた。そこからこの記録を書いている。

リブル・ラグルと言えば職人の楽園として有名だ。鍛治に始まり硝子細工から服、からくりまで、あらゆる職人がここには集う。私はここで、旅の共になる鞄を作ってもらうつもりでいる。背負うものならもう足りているから、腰に提げられるようなものがいい。この手帳を入れて歩くのに、ちょうどいいような。

今夜の宿は町外れの安い場所を当たろうと思う。始めからあまり贅沢をして、行き倒れたのではどうしようもない。その点、リブル・ラグルはありがたい。安い宿から高い宿まで、選びようがある。

明日は首都になっている国を目指すつもりだ。老夫が訝しげにこちらを見ている。そろそろ宿を探しに戻る。



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