この白い灯台のなか




(この白い灯台のなか)



傾いた夜 逆さまの朝を
形のない光が刺す
眠るように見送った
舟は地平線へ

朝露に濡れた靴を
撫でた指の
嘘めいた優しさ
僕の求めた地図のなか
絵の具色の海


人の声など聞こえない
この白い灯台の中
揺り起こす思いもなく
時は生まれ変わる


翡翠の慕情
緋色のニヒル
瞼の下にひかる青

巡り逢うために
生まれるのだとか
誰かの綴った言葉は
信じたくなるほどに浅く
陽炎と消えゆく


ここはどこ


君の声すら届かない
この白い灯台のなか
飛び去った鳥の影だけが
僕の目を焦がした


傾いた夜が夜が朝が
何度訪れ壊れ揺らぎ
青く沈む「蜻蛉」
僕は何もおもわない


らす声の君の声すら
いなえこ聞こえない


こ の 白 い
灯 台 の な か


目覚めては朽ちる声が
僕のものだとしても


目覚めては暮れる夢で
すべては地図のなか



すべてはきみの空想
飛び去った鳥の影





この灯台のなか








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