※管理人の大好きなゲームネタです。それでもおk!な方はどうぞ!
たぶんヘタレ×ツンギレ
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男子高生が、日曜日の昼間っからなにしてんだと言われても仕方ない。
とりあえず、男2人で部屋にこもってお互いゲーム機持って向き合ってる俺達はリア充ではないわな。
「ねぇねぇ、フィーリングチェック。これ、やろうよえーくん」
「あ、それなんかチョコみたいなアイテム手に入るんだったよな?たしか集めるとどっかで便利なアイテムと交換できたはず…」
「それ、たしか飛行機のとこだよ。あと、貰えるのはあれだよ、あれ。技思い出しの」
「ビー、それマジで。じゃあやる。あれ消耗品だから」
「交換は?あと対戦」
「それはあとで」
美上 走。みかみ そう。それが目の前の幼なじみの名前。
栄口 決。さかえぐち きまる。それがおれの名前。
俺は自分の名前はぶっちゃけDQNネームだと思ってる。そこまでいかなくても、ちょっとしたコンプレックスではある。きまる、なんて。小さな頃からからかわれてきた。それに比べて走はまだマシ。音は普通だから。ただ、漢字をみるとみんなびっくりするけど。
だから、俺達はお互いをニックネームで呼びあう。あえて苗字を違う読み方にして、えーとびー。それは俺達だけの俺達による俺達のための名前だった。
「……すげ、相性最高ってどゆことよ」
「やった。えーくんと俺って実は赤い糸で結ばれてんじゃない?」
「マジか。実はビーが真の俺の嫁だったわけか」
「違うよ。えーくんが俺の嫁なんだよ」
「どっちにしろきめぇよ。彼女作ってリア充にでもなれ」
「やだよ。爆発しちゃうじゃん」
お互いゲーム画面から目は離さない。こんなの俺達には当たり前だ。日曜日の昼間っからゲームしてるこの状況は最早日常と言っても差し支えない。はいはい、廃人乙ってやつだな。
「どうする?次、交換?対戦?」
「どっちでもいい」
「じゃあ交換ね。なんとなく」
「お前どうせ対戦用にネタ要員作ったんだろ。そんで、今日、対戦でそれ使う気なんだろ」
「あ、バレました?」
「バレバレだよ、どアホ。くだんねぇのなら俺の手持ち達が全力でそいつをフルボッコにしてやんよ」
「うへぇ、えーくんマジキチ。ノリ悪いよ」
くつくつとビーが笑う声が聞こえた。それにため息をつきながら俺はゲーム画面をタッチペンで交換画面へと切り換える。てか、最近は便利になったよな。前は通信ケーブルとか必要だったのに、今じゃ赤外線ときたもんだ。
「ビー、なんか名前つけた?」
「えーくんこそなんか名前つけた?」
「メロスってつけた」
「それ、俺の名前が走るって字だから?安直ー」
「うっせぇ。じゃあ、てめぇはなんてつけたんだよ」
「それは届いてからのお楽しみー」
ゲーム画面の中で、交換は着々と進む。ビーのは俺に。俺のはビーに。それはあっという間の出来事。
そんで、次の瞬間俺は驚愕した。
「……………は?」
ビーから届いたもんは、とんでもない名前がつけられていた。
俺は思わず目を疑ったよ。
「ちょ……おま、これ……」
「……ねぇ、えーくん?さっきの話なんだけどさー。……俺の嫁は、やっぱりえーくんがいいんですよねー。個人的に」
「嫁、……ですか」
「なんで敬語。えーくんそれウケ狙い?」
笑うビーに、俺はゲーム画面からギギギと目を離して顔をあげる。
ビーは、俺を見ていた。
「ビー……」
「えーくん、返事、言ってくれないかなー。俺、直接聞きたくて」
その言葉に、俺はぶちギレたね。
「じゃあてめぇもこういうのは口で伝えろよボケがぁぁぁあぁああ!!!!!!」
「いったぁぁぁあぁああ!!!」
足蹴だよね。足蹴。ゲーム片手に俺はビーを足蹴にしたね。
「直接聞きたいだぁ!?ならてめぇも直接言えやボケなすび!!!!」
「ちょ、えーくん……暴力反対ー…」
「うっせぇぇええ!!!」
俺はビーを足蹴にするのをやめ、部屋から出るべく扉へ向かう。
慌ててビーが「えーくん!?」と、縋るような声を出した。
「てめぇが直接言ってきたら直接答えてやらぁ!」
そう言って、扉を豪快に閉めればバンッと激しい音をたてた。
最後にチラリと見えたビーの顔は最高に情けなかった。
「……なぁにが『あいしてる』だ」
ポツリ、とゲーム画面に移るモンスターのニックネームを口にして俺はずるずるとその場に蹲ってしまったのだった。
ビーのばか。
こういうのは口で言え。
END
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名前についてですが由来は超安直です。
ビーだから、走。
そうBダッシュです。
えーくんだから、決。
そうAボタンで決定、です。
こういうゲーム話を書くの、楽しいです←
(20110106)
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