どうしてだよ




菜緒がいなくなった今。
俺達は静まり返っている。
悲しくて何も言葉が出ない。

どうして菜緒は消えたんだ?
どうして菜緒が消えなくちゃならねぇ。
あいつはちゃんとここで生きていたじゃないか。

違う世界の奴だから?
そんなん知らねぇよ。
俺は……俺達はただ菜緒と一緒にいたかった。
ずっと一緒に暮らして、笑いあって、馬鹿やりたかっだけなんだ。

銀時もヅラも松陽先生も急なことで何とも言えない状態。
すると、銀時がいきなり歩き出した。
歩き方はフラフラしていて、まるで生きる希望を忘れたみたいだ。
ヅラも松陽先生もどこかへと歩んでいった。

俺はただ、菜緒が消えた場所をただ眺めるだけ。
ここにいたらいつか菜緒が帰ってくるかもしれないと、心の隅で思ってるから。


早く会いたい。

でも菜緒は来ない。
お願いだよ、来てくれよ。
俺は小さい身でもありながら菜緒が好きだった。
明るい笑顔に、優しい性格。いっぱい遊んでくれたし寝てもくれた。

だけどその裏では悩み事が色々あったはずだ。
俺と菜緒とで夜中話している時、菜緒は悲しみに満ちていた。
あの時は何で泣いてたかわからなかったけど、今ならわかる。
初めて会った時、俺らに違う世界から来た、って言った。
どうしてあの時俺はあいつを信じてあげれなかったんだろう。
ちゃんと信じてあげれたなら、もっと一緒にいた。
消えないための方法も考えたはずだ。

いつの間にか涙が流れていた。
次第に涙が目から溢れ出てポロポロと沢山の涙が流れてくる。

きっと今、違う所で銀時もヅラも松陽先生も泣いているんだろうな。


菜緒はどこに行ったんだ?
今どこにいるんだ?
居場所さえわかれば俺はすぐにでもかけつける。

この世界は憎い。
俺らの前から、大切な人を奪った。
壊したい。何もかも壊したい。
でも、今は駄目だ。

俺が今壊そうとしたらどこかにいる菜緒が悲しむかもしれない。俺を拒絶するかもしれない。


だから俺は“今”は我慢する。
もしかしたら、菜緒といつか会えるかもしれないじゃないか。

俺はその場で立ち上がる。
流れていた涙を拭き、バッと勢いよく空を見上げた。
菜緒とは必ず会えるんだ。


今じゃなくても未来でもいい。
絶対に会えるんだ。

俺はそう信じながら教室へと向かった。





((俺達はいつでも菜緒が戻ってくるのを待っている…))

((だから、早くまた現れてくれ……))



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