いきなり



「ここが江戸かぁ…」



そう呟きながら上を向く。
私、加々美実乃。
仕事を探しにこの江戸へとやってきた。
ぶっちゃけ親の下で医者として働いていようと思ったけど楽な仕事をしたくなったから止めた。

まぁ、楽な仕事なんて無いと思うけど。
実は残念なことに江戸まで来たは良いが、家がまだない。

きっと親が用意してくれるだろうと思っていたがあっさりと「嫌だ」と断られたのだ。


初めて都会に来たのだから家くらい用意してくれたって良いのに…。
自分で探すのめんどくさいなー…。

文句を言いながら私は渋々と歩きだし、家を探す。
めんどくさいったりゃありゃしないよ、と思ったのも束の間。
前から何故かパトカーが走ってきた。
それも何故か私の所に向かってきている。

え、これ逃げたほうがいい感じ?

私は重たい荷物を持ちながら走りだした。

いや、ってか何で私逃げてんだ。
私じゃないかもしれないのに。
「おい、そこのオレンジ髪で横に縛っている女止まりやがれ」



スピーカーを使いながらそう言ったパトカーに乗っている黒髪の人。

やっぱ私だったァァァ!!
何でだよ!
私何かした?
いやいやいや、何もしてねーよ!

着物だから走りにくいが、頑張って転ばないように走る。



「おい、止まれって言ってんだろーが!!」


「だから、何なんですかァァァ!!私何もしてませんよ!」


「はぁ?だから止まれって言ってんだろーが!!」


「今にも退かれそうなのに止まれと言って止まる馬鹿がいるかァァァ!!」



後ろからくるパトカーをチラチラ見ながら走り続ける。

ってか私パトカーに追いつかれてないよ。
ある意味凄いかも。

走り続けて目の前に大きな建物が見えた。
その大きな建物の前にある門には警備員らしき人が立っている。
よく見れば大きな建物には真選組と書いてあった。

何真選組って。
ヤクザみたいな組織的な?
まぁ、いいや。

今はあの警備員さんみたいな人に助けを求めよう。



「あの、すみませんんんん!!」


「え…あ、はい。って、ええええ、パトカーに追いかけられてる!?」



警備員さんは黒髪の何だか地味そうな人だった。
見た目的にこの人ヤクザじゃないな、と思ったのはきっと私だけじゃないだろう。

だって何かこの人影薄そうだし。
ってか驚くのは当たり前だけどまず兎に角助けて!!

私はその地味そうな警備員さんの所まで来るとその人の後ろに隠れる。



「ちょっ、いや、ええええ」


「ごめんなさい!!あの、出来ればあれ止めてください!」


「いや、無理ィィィ!!」


「いや、まじ頑張って!!」


「いやいやだってあれ車じゃん!!無理だって!」


「そこを何とか!!」



必死にお願いをするが地味そうな警備員さんは無理だと言う。

まぁ、当たり前だけどね。
でもひかれてでも何とかして止めてほしい!!

と思った矢先、こっちに向かって走ってきたパトカーが私達の目の前で止まった。
そしてパトカーから出て来たのはさっきの黒髪の人だった。
あ、ちょっとかっこいいかもだなんて思ったが瞳孔が開いていることに気づきこの人はきっとヤクザだと思った。

だって瞳孔ヤバいくらい開きまくってんじゃん。
黒い服着てるし…いや、何かヤクザっぽくない服だけど。
もしかしてこの瞳孔さんパトカー盗んだのだろうか。
よく見れば瞳孔さんは私の前にいる地味そうな警備員さんとちょっと似ている服を着ている。



「も、もしかして地味そうな警備員さんもヤクザ…!?」


「地味そうなって酷くね?…いや、もう慣れたからいいんだけどね、うん。……っていうか、は?」



疑問を疑問で返してくる地味そうな警備員さん。
え、違うの?



「だってこの瞳孔さんと服似てるからきっとヤクザかと…」


「いやいや、何でヤクザがパトカー乗ってんの?おかしいでしょ」


「え、パトカー奪ったんじゃないの?」


「奪ってねぇよ!まずヤクザじゃねぇ。警察だ」



はぁ、とため息をつく瞳孔さん。
警察…。
……いやいや、こんなヤクザっぽい警察があってたまるかァァァ!!






((断じてこんなのが警察だなんて認めません))


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