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亡国のユダ【海図42】

双眼鏡で覗く限り、亡国マソに特別な変化はないように思える。
幻獣も出現していないようだし、敵襲などの騒ぎも起きているようには感じない。

「シン、どうね?」

操舵席にいるシンファの隣にはフェイタンがいた。

「特に変わりはねぇな。このまま上陸する。」

道中幻獣に襲われることもクカンユからの襲撃もなくシンファ達は無事に亡国マソまでたどり着いた。

浜に上がるとそこにはシズクとフランクリンが待っていた。

「お帰り、団長達、今王城跡にいるよ。」
とシズクが言って、シンファ達は王城跡に向かう。

王城跡にたどり着くと団員達が何やら輪になって話していたが、シンファ達の姿を見つけるとすぐにクロロが
「戻ったか。」
と、声を掛けた。

「はい、ただいま戻りました。何か問題ですか?」
シンファが聞くとクロロは首を横に振る。

「いや、特に問題は起きていない。幻獣も島内には1度も出てきていないしな。」

島内には、という表現が妙に気に掛かる。シンファはその事について尋ねると、
「実は船長から報告があってな、彼女達はちょくちょく小船でシリェーナトライアングルの探索に出ていたんだが、あの中はかなり不安定な様で、ハーピーがでてくるときもあったようだ。サイクルは以前予想したとおり1週間おき。もしかしたらあの場所まではペンダントの抑止力が効かなくなっているのかもしれん。」
とクロロが言った。

シンファ達は再び輪になって辺りに腰掛けた。

「しかし妙じゃないですか?」
シンファが言う。そしてクロロもそれに頷く。
「ああ、妙だ。本来なら念能力の効果は能力者から離れれば離れるほど弱くなるはずだ。シリェーナトライアングルが不安定になっているのなら島内も幻獣が現れてもおかしくはないはずだ。」

しかしそれにはウボォーギンが言った。

「なんでだよ?クリスタルは城跡のレリーフに嵌めてあるんだろ?だったら島内に幻獣がでなくて、離れてるシリェーナトライアングルにはでてくる、普通なんじゃねぇのか?」

他の団員もその通りだという顔。
だが、シンファが答えた。

「いや、やっぱおかしいな。本来王が残した能力は外敵排除のために【幻獣を出現させる具現化能力】だったはすだ。クリスタルはそれを抑止するためだけの物だ。だったら幻獣を具現化する能力が主になるわけだから……」

「クリスタルの抑止力よりも具現化能力のほうが上回るはず、てことね。」
フェイタンが言った。

「だからこっちにクリスタルがあって抑止力の効果も離れれば離れるだけ弱まるってことだろ?だからシリェーナトライアングルだけ不安定になっても普通じゃねぇか?」

「俺もそれを考えては見たが、そうなると抑止の能力者と、具現化の能力者は別ということだ。同じ力で能力を発動できなければ抑止の意味がない。」

クロロが言うとシャルナークが

「じゃ、能力者が別ってことなんじゃない?具現化するのは王様で抑止が王妃とかさ。」

とあっけらかんといった。


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