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キミの”本音"を知ってるよ




意地っ張りで、意気地なし。
馬鹿みたいにまっすぐで、負けず嫌い。

そんな君は、気分で僕には、怒って見せた。






「ユキくん。ユキくん。」

「ん?なに、ユウ」

「そこ、座らないでって言ったでしょ。
早くどいてよ」






頬を膨らませて怒る



…だなんて、漫画みたいな。アニメみたいな。そんな怒り方じゃないけれど。







「ユウちゃん。
その手に持ってる漫画は誰の?」

「…ユキくんの。」

「ユキくん、それ、貸してあげるって言ってないけどな。
なんで、ユウちゃんがユキくんの漫画持ってるのかな。」








ムスッとして、視線を横にずらす。

そんな姿も可愛らしい。







「ユウ。ここ。おいで。」

「…いやだ。」

「ユーウちゃん?」

「…、」









ここ。と指差した先は、ベッドに寄りかかる俺の足の間。

ムスッとしながらも、ほんの少し近づいたユウの腕をグイッと引く。







「ユウ、あったか…
人間カイロさん。」

「っ、」








手に取った漫画は、横に優しく置いて。

ユウの腕は、そっと俺の腕に触れた。








「ユウちゃん。
構って欲しかったでしょ。」

「…ユキくん。
本ばっか、だから。」

「(可愛すぎかよ…)」







拗ねてる。拗ねてる。可愛い。


きちんとセットされたわけではない寝癖混じりの髪の毛。

化粧っ気のない顔。


ユウを作り出すすべてのものが、愛おしくてたまらない。








「ユウのことならお見通しだよ。」







構って欲しいと素直に言えないから。

お話ししようよ、なんて言えないから。


だから。






君は、怒ってみせる。







(それさえも)
(愛おしさで霞んでしまう)






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