小説 | ナノ




驚きすぎて。


「ん。」


照れ臭そうに伸ばされた手に、戸惑いを隠せずにいた。


「え、と…」

「いいから、早くしろって」


普段から、あたし、愛美【まなみ】と唯斗【ゆいと】は素直じゃなくて、こういうことに疎かった。

だから、やけに照れ臭くて。


「や、いい…、うん。
だ、」


大丈夫、と続けようとした言葉は


「あーもーだからっ!!」


唯斗のその声でかき消えた。

唯斗の手があたしの手を無理やりつかんで、距離がぐんと近くなる。

目と目が合えば、お互い恥ずかしくって赤くなって。

気付けばどちらからともなく唇が塞がっていた。







ていうか、なんであたし尻餅ついてたんだっけ…?

あ…そっか。







「あたしも、好き、です。」


唇が離れた瞬間、そう口に出すと、唯斗は嬉しそうに笑った。






唯斗に告白されて、驚きすぎて尻餅ついたんだっけ。










<ありえなさすぎて、驚いて、尻もちついたけど、痛くて夢じゃないって分かった瞬間、嬉しいような照れ臭いような、だけど幸せな気持ちになった>








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