ネタ

01

序章



「…………ん……」


じっとりと焼け付くような熱さに体が反応していて、閉じていた瞼がゆっくりと開いた。

瞼がまだ少しだけ重いのを無視して首元を伝う汗を拭う。

ごろん、と寝返りを打って上を向くと、やけに太陽が射していることに気付く。

……いや、射しているんじゃない。これは、直接自分の体に照っているんだ。

段々とはっきりしてくる視界に一番最初に捕らえたものは、綺麗な青空。


「……なん……え?」


明らかに可笑しい事に気付いて上半身を思いっきり起き上がらせる。

起き上がり視界が少しだけ高くなり、周りが見えた瞬間、顔が引きつった。


「え……えぇえええぇぇぇぇぇ……?」


辺り一面、砂漠。砂漠、砂漠、砂漠。黄色い砂の粒子ばかり。空は雲ひとつ無い快晴で太陽が爛々と輝く。

ざぁ、と少しだけ風が吹いて自分の体を撫でて砂を一緒に運んでいった。汗をかいている体にはとても嬉しい事だけど、熱風しか吹かないのはいただけない。

汗を拭ってから立ち上がり、辺りを見回す。

可笑しいな。そう首を傾けてみてもそれに反応する者は存在しない。ただ、自分だけがここに存在するように、人っ子一人居やしない。

何故ここに居るのか。昨日の夜の記憶を遡っても、ここに横たわっている理由は見つからない。

万が一夢遊病だとしても、日本からこの日本離れしているような場所まで来れるか? 飛行機とか乗らないと来れない様な場所だぞ。砂漠なんて。


「……あぁ、でも」


よく考えればこうなる理由が一つだけ存在する。

リボーンの仕業か。

リボーンが誰かに言って自分をここまで連れてきたと言う可能性が無いとは言い切れない。リボーンだしな。

まぁ、しかし。アレだな。リボーンの仕業だと仮定するなら、これから行動すればきっと何とかなるはずだ。あのチビッ子は無意味な事はしない。……と思いたい。

そこらへんの確証は持てないが、ここまで連れてきたのだ。何かしら理由はあるはずだ。

とりあえず、ここに居たら熱中症か脱水症状でぶっ倒れてお陀仏だ。この現状をどうにかするにはまず街で安全を確保しなければ。

目を凝らして辺りを見回すと、斜めの方に薄っすらと街の様な建築物を発見。

遠目からだが、何処となく神秘的と言うか、特殊のような感じが僅かに漂っている。


「……ま、とりあえず行きますか」


今からあそこまでは結構時間がかかりそうだ。本当に薄っすらと見える程度だし。

――――これで蜃気楼でした。とかだったら泣くしかないな。



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