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「うぅ……」

「元気出しなって、また新しい人見つけよーよ!」

ただいま片思いの先輩に告白してきましたが見事にブス! と振られました。

死にてぇよぉ。

死にたくないけど死にたいという理屈が通っていないというね。

それをなだめる役目は私の大親友こと篠宮 奈緒。

奈緒の部活の先輩だったこともあり、校舎裏に呼び出して貰い告白したんだけど……。

でも見事に撃沈、そして「俺、彼女いるから」の一言で死んだ。

「ねえねぇー、井上先輩の彼女いるの知ってた?」

「ごめん、知ってたんだ」

奈緒は満面の笑みで言った。

私の知ってる奈緒じゃない、何でこんなに怖いの?

武者震いではなく、恐怖に怯える感じだ。

そんなこと考えてる暇もなく奈緒は喋り続けた。

「井上先輩の彼女は私なんだ! でもぉ、ハルカにもいい気分を少し味わってもらおっかなーって、ね!」

満面の笑みからは変わって、残酷な見下す表情の奈緒。

私は篠宮奈緒の使いようの良い玩具にされていたということか?

ブチっと堪忍袋の尾が切れた。

私はおもむろにニヤニヤする奈緒の顔を見ながら手首を掴んで非常階段に行き着いた。

「な、何する気?」

先程とは変わり、怯えた表情を浮かべ立場が逆転した、と歓喜の目をする私。

どっちも最低だな。

「何って、ここから………」

ごくり。
奈緒の唾を飲む音と心臓の鼓動が速くなるのが聞こえた。

「落ちて死んでもらう」

「あ、謝るから許してよ! ここ3階だよ!? 彼氏あげるから!」

必死に私の腕にしがみつく奈緒、いや"篠宮さん"は真っ青な顔をしていて足が震えている。

それにしても彼氏をモノ扱いとはとんた最低野郎だ。

何故かそれを喜ぶ自分がいることに自分も最低だなと覚えるが関係ない。

これはただの脅し、突き落としたら刑務所か少年院行きだからな。

脅してから土下座でもさせて、明日から縁を切ってしまうので。

「さぁてぇ? じゃあそろそろ……」

「い、いや! やめようよ! ハルカ捕まっちゃうんだよ!?」

あはは、なんかこの顔たまらない。

私ってもしかしてSなのかな?

まぁどーでもいいや。

「それは心配いらないから、だってあんたを殺して私も死ぬから、ね!」

その上段を言いかけた直後、私の後ろにあった銅の古い錆びたフェンスが崩れた。


あ、私死ぬんだな。


キャーと悲痛な叫び声を出す篠宮 奈緒を見ながら鼻でふはっと笑った。

いままでの人生が走馬灯のように蘇る。

家族、ペット、友達やら先生と関わった時間が脳裏に移った。

誰にも聞かれないようにそっと、小さな声で呟いた。

(捕まるのはお前だ)




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