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▼ Side:TRICK

 

「トリックオアトリートぉーっ!」
「………」
「なんですかその『今年も厄介なやつが来たか、やれやれ』みたいな顔は」
「なぜお前はこのイベントに、それほどの気合いを入れるのだ。理解できん」
「だってハロウィンは子供の決戦日なんですよ?お菓子をもらうためにはいたずらも辞さないその覚悟!すばらしい!」
「子供は家で静かに本でも読んでいればよかろう、まったく…」
「そんなの見せられたら私もそれなりに力を入れて臨まないとー」
「臨まんでいい」
「(無視)まあ私は子供じゃないですけどね。はい!」

「…なんだ、これは」
「ポッキーです。日本のお菓子で、持ち手部分にチョコがついていないという画期的な」
「そんなことは以前お前が一本一本見せびらかして食べながら長々と説明したから知っている。それより、お前が我輩に渡してどうする。逆であろう」
「いいえ。今から先生が私にくれますから」
「自作自演か?不毛な…」
「とんでもない!むしろ斬新ですよ。トリックとトリートどちらも一度にやろうってんですから」
「……一度に」
「そうです、相手に選ばせるなんてまどろっこしいことをせず、時間短縮!そんな画期的なシステムがあるんです!タイトルコール行きますよ。せーの、

 ポ ッ キ ー ゲェ ー ム っ !

これはですね、一方が口にくわえ、もう一方がその状態のままポッキーをかじることにより、お菓子の甘さとドキドキハプニングのスリルが体験できるという、一挙両得の」
「口を閉じろ、理解した」
「どうです、やってみましょうよ」
「構わんぞ」
「え、うっそ!マジ!?駄目もとで言ったのに!」
「その前にまずダンブルドアとしてきてはいかがかな?マグルの文化を体験できて喜ばれるはずだ。今なら校長室におられますぞ、さあ。さあ」
「…嫌なら嫌ってストレートに言ってくださいよ傷つくなあ…」


End. 

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