小説 | ナノ


▼ Leap Year !!

 

「いい話を聞いたんですよ」
「お前にとってのいい話というのは例外なく我輩にとっての悪い話だが、予防策を張らねばならんから聞いてやる」

「うるう年の2月29日、その日は『歴史に記録されない日』なんだそうです。
 だから昔のイギリスでは、慎ましやかな女性が唯一プロポーズしてもいい日だとされたとか」
「……」

「そして!男の人はそのプロポーズを断れない!」
「……」

「慎ましやかな女性の、精一杯の勇気ですものねえ。むげにしては紳士がすたりますよねえ」
「…『慎ましやかな』女性ならばな」

「断るんですか」
「断らない理由がどこにある」
「じゃあ、はい」
「なんだその手は」
「指輪、してませんね」
「していない」

「プロポーズをしたのに、指輪をしていない。そこから結果は伺いしれるわけで、つまりは女性に恥をかかせることになるわけです」

「だから、プロポーズされた男性がどうしても断りたい場合は、手袋を1ダース贈らないといけないそうですよ」

「……」
「12個です」

「……」
「この冬は余裕でしのげますね」

「…そんなに要るかね」
「ないよりはあった方が」

「さあ!選んでください!マリッジorグローブス!」
「お前のそれは求婚ではない。恐喝だ」


End. 

[もどる]



prev / next


[main]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -