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バーナビーは優秀でいい家に生まれた。恵まれてはいたが、彼にとって、自分の権力や容姿しか見てくれない状況は幸せでもなんでもなかった。初めて虎徹が家族のように恋人のように接してくれたことが、彼の気持ちを大きく動かしたのだ。
虎徹さんは敵なのに、バニーは敵なんだ…そう互いに思いこんで、必死に諦めようとする二人、しかし無意識に相手を探し求めて海をさまよう。……ある日ついに海で出くわす。自分の思いを押し殺して、たがいに剣を引き抜く。でも、バーナビーには虎徹を切ることができなかた。経験の差もあり隙がうまれたバーナビーの肩を虎徹の剣がなでる。バーナビーは思った。このまま、彼に殺されたならば自分はこのどうしようもない苦しみから解放されるのではないか?彼に殺されるのと、帝国にこのまま屈していくのがどちらが幸福なのか。
『貴方になら殺されたい』
バーナビーが言う。きっとこの先結ばれないなら、せめて愛するこの男の剣の錆になろうではないか。カラン…とバーナビーの手から刃が落ちる。虎徹の剣先がバーナビーの胸元にゆっくりと上がる。そこで虎徹は口を開く
『なぁ、バニー…お前、もう一回俺に捕まんねぇか…?』
『何を言っている、鏑木・T・虎徹。僕は…』
『大丈夫だ、俺はどっかの優秀な金髪の海上警察にすら捕まえられない大海賊だぜ。一人くらい捕まらずに抱え込める』
『…貴方、まさか…!?』
『旅…したくねぇか…?こいよ、バニー』
『でも…っ』
『ダッ!言わなきゃわかんない?好きだバニー…俺とこい』
いつの間にか、突きつけられた剣は降りて暖かい手がのばされる。遠慮がちにその手をとると、力強くその胸にひきこまれ、懐かしい香りに包まれる。
『仕方ないですね、おじさん…』
そう呟くバーナビーの顔に既に苦しみの表情はなくなっていた。
後日、バーナビーは自分の警察服を脱ぎ捨て、その腕章を靴底で踏みつけ虎徹を前にしてに言う。
『虎徹さん、逃げてるだけでは性に合いません。もと海軍の僕は海賊になれませんか?』
虎徹は嬉しそうに破顔して、目の前の男を抱き寄せた。
『当たり前だろ?今日からお前は大海賊鏑木・T・虎徹の相棒バーナビー・ブルックスjr.だ!』




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