■77 弱点を克服したい燐
「セイ!!セイ!!」
ばしっ ばしっ
「セイ!!セイ!!」
ばしっ ばしっ
「セイ!!セ…」
「うるせえええええよ!!バカ!!朝から何やってんだ!!」
「あっ、雪男おはよ、セイ!!」
ばしっ
「……あの、何してんの?」
「見てわかんだろ!修行だ!!セイ!!」
ばしっ
「…しゅぎょう?…あの、……どこが?何が?僕の眼鏡の度が合っていれば、兄さんは今見たところただ床に尻尾を叩きつけてるだけに見えるけど。…あの、埃舞うからやめてもらっていい?あとうるさいんだけど。今何時だと思ってるの?流石の僕も4時には起きないなぁ」
「何言ってんだ眼鏡!!これは究極の修行だ!!セイ!!」
ばしっ
「ちょ、うるさいし!僕に向かって尻尾叩きつけるのやめて!!案外痛い!!」
「メフィストが“尻尾は悪魔の弱点”なんて言うから、俺はその弱点をどうにかして鍛えようと思ってんだ!セイ!!」
ばしっ
「やめて!!だから何で僕に叩き付けるの!!…そんなとこ鍛えてないで普通に蝋燭に火を灯す修行しなよバカッ」
「それはそれ!これはこれ!」
ばしっ
「痛った!やめろ!…別に尻尾なんかそんなに動かさなくていいよ。なんなの早朝(っていうか深夜じゃないのか)から…。ほら、尻尾埃まみれだよ汚い。大体尻尾叩きつけて何が鍛えられるわけ…」
「尻尾の筋肉」
「……あ、そ」
「だいたいな!俺の尻尾は弄られすぎだと思わねーか!?弱点だからってだけでお前に引っ張られたりなぞられたり!ひどいときには××に××××れたり」
「伏字やめて!!」
「うっせぇ!!俺はな、もうこの尻尾をお前のいいようにされるのはごめんなんだ!!だから超鍛えまくって尻尾を最終兵器にする!セイ!!」
ばしっ
「イッタ!!…ええええええ!」
「セイ!!セイ!!」
ばしっ ばしっ
「やめ、やめろ!!この!!」(尻尾をわしづかみにする雪男)
「ぎゃあああああ!!」
「…なんなんだよ、筋肉を鍛えるとか言って、引っ張られるだけで全身から力抜けてるじゃないか」
「うううう…引っ張られるのにはまだまだ弱いのか…くそっ」
「もう、どこまでバカなの。大人しく尻尾なんか隠してたらいいじゃないか。こうやって外に出してぷらぷらしてるから引っ張られたりするんだよ」
「俺もういやだ、こんな弱点いらねえ!」
「兄さん…」
「ヒーローに弱点なんかいらねえだろ!」
「(自分でヒーローとか言ってる…)でも兄さん、もう尻尾に慣れたんだろ?…こうやって見たら案外可愛いから。あとは隠しておけば大丈夫だよ。ねえ、だからこのヘンな修行もうやめてよ」
「……わかった」
「よかった。ほら、まだちょっと眠れるよ。大人しく寝てよ」
「修行の方法を変えるぜ!尻尾にタイヤをくくりつけて引っ張る修行にする!」
「……………もちろん外でやってくれるよね?」
<実際、燐は自身の尻尾の事どう思っているんだろう…>
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