___汝、名を問う

(私の名は・・・    )




私の生まれた家は名家と呼ばれる部類である。
それもこの世界ではとびきりの名家といわれる創設者の子孫としての繁栄であった。

そもそもこの家はいわゆる変人、少しばかりおかしいものたちの集まりといっても過言ではない。一族の当主皆が口を揃えて言うのだ、

『スウェナ・みょうじに救われた』と。

偉大なる我が一族の祖先スウェナ・みょうじは魔法学校創設者に多大なる信頼を得ていた人物である。
彼が時間を、次元を超え連れてきた者たちに順々に血を与え裕福な暮らしを与えてこのみょうじ家は成り立っている。
では、なぜこのようなことをしてまでも祖先は我々のような者に場所を与えるのだろうか。
その謎は時が進もうとも謎のままである。
しかし、連れて生まれ変わった者たちが皆、前の生で不当な扱いや、納得出来ない最後を迎えてしまった者だと、それだけは事実である。
このみょうじの家では赤子に問われる問いがある。
それが前世の名前を問うものだ。

問いに答えられ、前世の名前から解かれた者のみがこの名家の当主としてその座に就くことが許されている。
そして一世代に当主として現れる記憶を持った者はたった一人なのだ。



私、『なまえ・みょうじ』はみょうじ家に双子の弟として生まれた。
そして我が一族の奇妙な問いに答えてしまったのだ。

兄は記憶がなく、幼いながらも名家の跡取りとしての地位を失ってしまったのだ。
時代は長男が跡を継ぐことが当たり前の時代。
兄の存在理由を奪ってしまったときより、私の運命は兄の分まで当主らしくあれ、を想いこの幼少期を過ごしてきた。
そして私の目の前には前世で唯一鑑賞できた映画にあったものと同じものがある。
ああ、これは『魔法学校』の入学許可書ではないか。


ここに記すのは奇妙な家に生まれた私とこの学校で起きた私の些細な出来事だ。今の時代より平和な私の学生時代の話である。

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