ホグワーツ特急で出会ったシグナス、オリオン、そして兄のアルズとともに新入生の行事とも言える船で湖を渡るなど行動を共にしていた。
ついに城に入ったが大広間にはまだ通らせてはくれなかった。
「なまえ!楽しみだな!」
「ああ、そうだな・・・」
興奮したシグナスに声をかけられた。
私はそれどころではなく、確か映画ではマクゴナガルが注意事項を話していたな、だが彼女もいまは学生のはずではないか。と思考を巡らせていた。
「なまえ、どうかしましたか?先ほどから考え込んでいるようですか・・・」
ずっと考え込んでいたためオリオンに無駄な心配をかけていたようだ。彼に心配ないという趣旨を伝えつつ自分の中でこれほどに無い、興奮をしていたのだ。
ここは原作には無い世界であり、自分は未知の生活ができるという子供特有のワクワク感に浸っていたのだ。
そのような思考を巡らせている間に引率教員の注意事項説明は終わったようだ。
(少し残念だな、見れないというものは。)
少しだけそのように感じてしまった。
少しずつ進む列に従い、大広間に入っていく。
我々より倍以上の人数を目の前に変な緊張が走った。
ああ、私たちはここで7年もの運命を決められてしまうのだ。
帽子が奏でる、寮の特色を聞きながら他の新入生を見る。
緊張しているもの、飽きているもの、考えているもの、自分の寮をすでに確信しているもの、さまざまであった。
「では、これより組み分けを始めます。ABC順に呼ばれたものからこちらに来て帽子を被ってもらいます。アークテル・リント」
はじめのアークテルはグリフィンドールだった。このような形で名前を呼ばれるのか、と感心、感動していると隣のオリオンが呼ばれた。
「ブラック・オリオン!」
「じゃあ、行ってきますね。またあとで会いましょう。なまえ。」
「ああ、また。」
彼はもちろんスリザリンに組み分けられた。
次に呼ばれたのはシグナスだ。彼も例外なく、スリザリンだ。
姉と兄だろうか。スリザリンのテーブルにつく彼は暖かく迎えられていた。
「あいつらスリザリンだったな。なまえ。会えたらいいのにな。」
「妥当だろう。彼らはブラックだ。」
「っふ。そうだな!あー、おれはどこだー!」
兄が早く組み分けてくれとばかりに嘆いたときに名前を呼ばれた。
名を呼んでいた魔女は兄を読んだのだろうかと思ったが、偶然だろう。
「なまえ!行ってくるな!」
うなずきだけした私を見て笑顔で帽子の待つ場に行った。
私の仮定だが兄はスリザリンにはならないという自信があった。たぶん彼は__
「___グリフィンドール!!!!!」
そうなると思っていた。と、なると私は「みょうじ・なまえ!」
帽子を被らされる。ああ、今から思考を読まれるのか。
(このシステムは面倒だな。)
(私は楽しいと思っているよ。いろいろな人の思考を読めるのはね!)
このうっとうしい帽子から早く解放されたい。
(君はみょうじの子かね!今回は双子なのだね!兄は暴れんほどの勇気を持つグリフィンドールだったが君はどちらかというと策士のような・・・だが君たち兄弟なら何とかなると信じているよ!君の寮は)
「____スリザリン!!!!!」
(帽子の会話からこうなることは分かっていた。どうせ仲の悪い寮に入っても兄弟として交流していくのだろうと、そして我が家についても人付き合いの広い人間が当主になるのだろうと。)
まるで私の今後の在り方を決められているようでいい気分ではなかったが、この寮にきっと入るだろうと両親や親類、自身も思っていた。ちょうどよくここは私の知っている映画の世界ではない。思うままに生き、物語に直に関わる世代への布石でもしておくに越したことない。
そう考えている間にスリザリンのテーブルに着いたようだ。
目の前の上級生だろうか、優しい微笑みで私に向かって言葉をかけた。
「___ようこそ、スリザリンへ。歓迎するよ。」
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