不意に牢の入り口の方から足音が聞こえた。
『二人…?アレクセイと、誰…?』
壁に寄りかかりつつ、耳で足音の正体を確かめようとする。
「気分は如何かな?」
足音が自分が入っている牢の前で止まり、片方の足音の正体がアルエに声を掛ける。
「えぇ、少なくとも魔物が居る外に投げ出されているよりは遥かにマシですね」
皮肉と捉えられるように、わざと刺の利いた言葉を返す。
それを聞いた足音の正体、アレクセイが肩を竦める。
「ふむ、それは褒め言葉として捉えて良いのかな?」
「そうですね、それはお好きなように」
捕らえられている分際で、よくもこんな生意気な言葉が次々と出るもんだと我ながら称賛したくなる。
「それで、何かご用でしょうか?」
「そうだな、本題へと移らせて貰おうか」
言いながら、アレクセイは牢の鍵を解錠し、中へと入り込んでくる。
と、アレクセイの後ろに居たもうひとつの足音の正体が現れる。
近づく足音