CHAPTER 04 /
20「だって、仕方ないでしょう!?」


「ーーーー…以上。 今読み上げたのが、春から異動となる者たちの名だ。 すでに対象者には辞令を交付している」

そう言って魔王様は今しがた読み上げた資料をパサリと机の上に置く。 その直後、私を含む十傑集の皆の『ハァ』というため息が見事に重なった。

「ついに…この時期がやって来ましたね」
「毎年この時期は死ぬほど忙しくなるんだよなぁ…」
「新しく配属された子たちには覚えてもらわなきゃいけないことが沢山あるからね…」
「もう毎年のことですから、慣れはしましたけど…」
「これからあの忙しない日々が始まるかと思うと、気が滅入っちまうのは確かだな…」
「うちのボスなんて誰が来ようが無関心で、本当に大変なのよねぇ…」

皆が口々に不満を漏らし、会議室内にはどよんと淀んだ空気が漂い始めるが…それも無理もないことだと私は思う。 人事異動…それは私たち十傑集に、毎年立ちはだかる大きな壁であった。 新たな人材の発掘・育成、そして魔物同士の交流を深めることを目的として行われるこの人事異動は、毎年一筋縄ではいかない。 異動を命じられた者が新しい配属先での仕事や生活に慣れるまでの間、エリアボスとしてしっかりと面倒を見なくてはならない上に、春は多くの新人が期待と不安を抱えて魔王城へとやって来る。 彼らのサポートも我々の仕事であるが故に、毎年この時期はてんてこ舞いとなってしまうのだ。

「お前たちには苦労をかけるが…今年もよろしく頼むっ!」

この場で唯一、実害の無い魔王様は申し訳なさそうにガバッと頭を下げる。 城のトップである魔王様にここまで真摯にお願いをされては、これ以上不満を言う気にもなれず…私たちはそれぞれ了承の意を示していく。

「魔王様、申し訳ございません…!つい不満を漏らしてしまって…今年も魔王城の為、全力で人材育成に励みます…!」
「まぁ…新しい仲間が増えるっていうのは何だかんだ嬉しいもんだしな」
「そうだね。 それに、若い子たちを見ているとこちらまで元気になれるし…」
「それは確かにそうですわね…あのエネルギッシュな姿に、感化されることも少なくありませんわ」
「他の魔物たちのやる気も、あがったりするしな」
「それもそうねぇ…ボスも少しは開発以外の事にやる気を出してくれるといいんだけど…」

先程までの暗い雰囲気が少し和らいでホッと息をつく魔王様の姿に、チクっと胸が痛む。 この日まで彼が誰をどこに異動させるのかと何日も頭を悩ませているのを見て来たはずなのに…年長者である私が不満を漏らしてる場合ではないじゃないか…!と自分の軽率な行動を心の中で反省した。

「人事異動については先程配った資料を、もう一度各自でしっかり確認しておいてくれ…本日の会議はこれで終了だ。 それでは…解散!」

魔王様の解散の声に各々が、席を立ち始める。 手元の書類をトントンと束ね立ち上がろうとしている魔王様に、先程の自身の失礼な態度を謝罪しようと私も席を立つが、その時。

「ねぇ、ちょっといいかしらぁ?」

すぐ後ろから聞こえる独特な口調の声に、ピタリと動きを止める。 今この場でこの口調が当てはまるのは、ただひとり。 くるりと振り返った視線の先には私の予想通り、ふよふよと浮かぶマシンの上に乗った可愛らしい人形の姿が。

「珍しいね、君が私に用なんて…」
「ウフフ、ごめんなさいねぇ〜、ちょっとあなたにお願いがあって!」

先程の暗い雰囲気とは打って変わり、陽気で楽しげな声が会議室に響き渡る。 今日も彼…シザーマジシャンは、からくりエリアのボスであるマザーくんの代理として遠隔操作可能なドールを使い、会議に参加していたのだが…

「私に、お願い…?」
「昨日、部屋の掃除をしていたら、コレが出てきたんだけどねぇ…」

『今見せるから、ちょっと待って♪』彼がそう言うとマシンの本体がゆっくりと開き始める。 そして中から出てきたのは、1枚の白い紙。 そのサイズからして写真のようだが、裏向いていて何が写っているのかまでは分からなかった。

「コレは…?」
「コレはね…なまえがからくりエリアに所属していた頃の写真よぉ〜」
「えっ!?!?」

まさかなまえちゃんの名前が出てくるとは思わず、大げさに反応してしまった私の様子に、シザーマジシャンはウフフと呑気に笑っていて、なんだか少し恥ずかしくなってくる。 何やら視線を感じ周りを見渡すと、私たちのやり取りが気になるのか他の皆がチラチラとこちらを伺っていて…その空気を察したシザーマジシャンはこの写真についての説明を続けてくれた。

「すっごく懐かしい写真だったから、早くなまえにも見せたくてねっ、あなたならすぐあの子に渡してくれるだろうと思って持ってきたの♪…お願いしても良いかしら?」
「そうだったんだね…わかった!あとでなまえちゃんに渡しておくよ」
「ありがとぉ〜!助かるわぁ〜!」

シザーマジシャンからの頼みを快く引き受けた私は、マシンの中に入っている裏向きの写真をそっと取り出す。 …これは、私が見ても良いのだろうか?当然、そんな疑問が浮かぶ。 そんな私の考えを、またもや彼は察してくれて…

「そりゃあ気になるわよねぇ、見ても全く問題ないから大丈夫よぉ!」
「そ、そうかい?…それじゃあ失礼して……っ!?」

シザーマジシャンの了承を得た私は、ゆっくりと写真を裏返す。 そして写真に写ったある人物の姿に、驚き固まってしまった。

「お、おい…ジジイ、ど、どうしたんだよっ?」
「一体、何が写ってるんだ…?」

私の驚きように、周りの皆もざわつき始めるが、構わず私は写真をジッと見つめ続ける。 それほどまでに、この写真の内容が驚き以外の何物でもなくて…そんな私の反応が焦れったくなったのか、ポセイドンくんがこちらへとズンズンとやって来るのが横目に映る。 そして私のすぐ側まで来ると、横からガバッと写真を覗き込んできた。

「何をそんなに驚いて……っ!?なっ、なんだよコレ!」
「ウフフっ!ビックリよねぇ〜まさかボスがカメラに向かって微笑むなんて!!」
「「「「はぁ!?!?」」」」

シザーマジシャンの言葉に皆が驚きの声を上げるが、無理もない。 あの無愛想で引きこもりの彼が笑顔で写真に写るなんて…そんなの誰も想像出来る訳がないのだ。 私も手元の写真が無ければ、きっと信じられなかったと思う。

「ほ、本当ですの…?あの彼が微笑んでいるなんて…!」
「見間違いじゃないのか!?」
「見れば分かるよ…ほら」

いまだ信じられない様子のアルラウネたちに写真を手渡す。 すると彼女たちの表情はみるみるうちに、驚きのものへと変わっていった。

「ま、マジですわね…」
「これが、あのマザー…」
「まるで…別人だな…」

皆で覗き込むこの写真には、ニッコリと楽しそうに笑うなまえちゃん。 そして彼女を挟むように両隣に立つ、シザーマジシャンとマザーくんの姿。 仮面と長い前髪で目元は見えないが、楽しそうに唇が弧を描いている、シザーマジシャン。 そしてもう一方のマザーくんはというと…彼らしからぬ穏やかな笑みを浮かべながら、カメラへ視線を向けている。

「当時は私もビックリしたのよぉ?ボスは個人情報の扱いに人一倍うるさいから、写真なんて撮るはずないと思ったのに…なまえのお願いだからって断れなかったんだから!可愛いところもあるわよねぇ」
「…マジかよ」
「なまえのやつ…!あのマザーまでも虜にしていたのか!?」
「なっ!?と、ということは…彼もなまえちゃんのことを!?」

予想外過ぎるライバルの出現に、私は思わず叫んでしまう。 そんな私の焦った様子に、シザーマジシャンはまたもやウフフと笑うと、楽しげに口を開いた。

「安心してちょーだい?ボスはなまえのこと、妹のように可愛がってるだけだから♪」
「そ、そうなんだね…っ!」
「あからさまにホッとしてますわね…」
「どうしてお前はいつもそう余裕がないんだ…」
「うっ…だって、仕方ないでしょう!?彼女は誰にでも好かれてしまうから、心配なんですよ…!!」
「その気持ち、分かるわぁ…あの子、普段はしっかりしてるんだけど、自分の事となるとすっかり抜けてるでしょ?…だから異動が決まった時も、新しい配属先で変な男に目をつけられないか、とっても心配していたんだけど…」

シザーマジシャンは途中で言葉を切り、黙り込む。 人形相手にその表情は読み取れず、何を考えているのか全く想像がつかない。 静寂が会議室を包み込み、不安が過ったが…すぐにウフフと陽気な笑い声が耳に届いた。

「まさか…エリアボスとくっついちゃうなんてね!なまえから話を聞いた時は驚いたわぁ〜!」
「なっ、!?」
「『あくましゅうどうし様とお付き合いすることになりました!』って、本当に幸せそうに報告してくれたんだからっ!」
「っ、!」

まさか自分の話題になるとは思わず驚いてしまうが、なんとも嬉しい事実が判明して頬が熱くなる。 本当にあの子はいつも不意打ちで私を喜ばせてくるから、油断も隙もあったもんじゃない…!

「今のなまえからは想像出来ないかもしれないけれど…あの子、異動が決まった時は不安そうにしていたのよぉ?」
「確かに…初めて悪魔教会にやって来た時は、少し寂しそうにしていたね…」
「あのなまえがなぁ…」
「一体、どんな感じだったんだ…?」

彼らの言葉に思い出されるのは、5年前の人事異動初日のこと。 教会の扉の前で少し寂しそうに佇むなまえちゃんの後ろ姿が、脳裏にはっきりと浮かんできて、私は当時の情景に想いを馳せた。






5年前ーー…

「(少し早く来すぎたかな…)」

今日は、人事異動初日。 新しい仲間がやって来る大事な日だからといつもより少し早めに教会へとやって来た私だったが…

「(あれは…っ!!)」

待っていたのは巨大な扉を見上げ佇んでいる、1人の女性の姿…今日から悪魔教会エリアへと配属となった、おんなドラキュラちゃんだった。

「(こんなに早く来ているなんて…ど、どうしよう…っ)」

まさか自分より早く来ているとは思ってもみなかった私は、このタイミングでの彼女との遭遇に思わず狼狽えてしまう。 正直なところ…彼女とは顔見知り程度でろくに話をしたことが無いため、何と話し掛ければ良いのか分からない…というのが本音だった。 良い歳して情けないが、女性に免疫のない私にとって『年頃の女性との会話』というのは、かなり神経をすり減らす事案なのである。

「(お、落ち着け…今日から彼女の上司になるんだ…!どっしり構えていないと、頼りない男だと思われてしまう…!)」

ドクドクとざわつく胸を落ち着けようとゆっくり深呼吸すれば、少し冷静になってくる。 幾分か落ち着きを取り戻し、改めて彼女に目を向けてみれば、その背中が少し寂しげに見える気がして…気がつけば、私は彼女の背中へと声を掛けていた。

「…おんなドラキュラちゃん?」
「えっ?」

凛と澄んだ、綺麗な声。 たった一言、声を発しただけなのに…すとんと耳に馴染む声にドキリと胸が高鳴る。 しかし、くるりと振り返った彼女の瞳には不安の色が滲んでいて…私は無意識に彼女を安心させようと出来る限り優しい声で言葉を紡いでいた。

「おはよう、早いね。 私より早く来る子なんて滅多にいないから、驚いたよ」
「お、おはようございます…!あくましゅうどうし様っ!」
「ふふ、そんなに畏まらなくてもいいよ。 上司とは言え、これから共に働く仲間でもあるんだから」

ピシッと背筋を伸ばし、緊張した面持ちで挨拶を返してくれる彼女が微笑ましくて、自然と笑顔が溢れてくる。 彼女の初々しい姿に、先程まで何と声をかけようかと躊躇っていた自分が馬鹿らしく思えてきて、ホッと安心したものの…

「……」
「(ものすごく…見られている…っ!!)」

何故だか分からないが、彼女は黙ったままジッとこちらを見つめていて、引っ込んだはずの緊張がまたもや顔を出し始める。 身長差から自然と上目遣いになる大きな瞳にまたもやドキッと胸が高鳴った。 一向に目をそらす気配の無い彼女にこれ以上耐えられなくなった私は、勇気を振り絞り声を掛ける。

「っ、あ、あの…おんなドラキュラちゃん?私の顔に、何かついてるかな?」
「えっ…?あっ、すみません…!つい見惚れてしまって…」
「っ、!?」

あまりに直接的な言葉に一気にカアッと頬が熱くなるのが分かる。 見惚れて、しまった…?こんなに若くて可愛い女の子が、私に、見惚れる…!?そんなこと、あるわけないじゃないか…!なんて、必死に頭の中で否定するも、そわそわと浮つき喜んでしまっている心はとても正直で…なんだか落ち着かない。 そんな私の葛藤を知ってか知らずか、彼女は更に追い討ちをかけるように口を開いた。

「も、申し訳ございません…っ!!本当に他意は無いんですっ、笑顔が素敵だなぁと思ったら、目が離せなくなっちゃって…」
「っ、ちょ、ちょっとストップ!わかった!わかったから…!本当に、これ以上は…私の身がもたないから…っ」
「えっ?」

彼女からの止まない口説き文句に、咄嗟にストップをかける。 なんということだ…もし、彼女の言う通り、本当に他意がないのだとしたら…とんだ人たらしじゃないか…っ!!!思わず、先程よりも熱くなった頬を隠すように、片手で顔を覆う。 そんな私の様子に彼女は…

「…もしかして、照れてます?」
「っ、そ、そんなことは……」

呑気にそんな事を言う。 こちらの気も知らないで…!ふいっと顔を逸らして否定の言葉を口にする私の小さな抵抗も虚しく、聞こえたのは控えめに笑う可愛らしい声だった。

「ふふっ、首まで真っ赤ですよ…?」
「っ!?」
「っ、ふっ、ふふっ、あははっ、」

彼女の言葉に咄嗟に首元を両手で隠すけれど、笑い声は更に大きくなってしまった。 すぐに自分の赤い頬が丸見えになっていることに気づき、恥ずかしさから頬の熱は更に増していく。

「っ、あははっ、もうっ、なんで、そんなに慌ててるんですかっ?」
「なっ、なんでって…!君が、あんなことを言うから…っ!!」
「でも、本当に素敵だと思っちゃったんですから、仕方ないでしょう?」
「っ、また君は…っ!」

『素敵な笑顔』こんなに可愛い女の子に言われて、舞い上がらない男がこの世にいるのだろうか…そんなことを考えて、またもやカアッと体温が上がるような感覚が私を襲う。 たじたじとなる私を温かい目で見つめる彼女の視線に、何だか嫌な予感がして…思わず私は、彼女に問い掛けた。

「…今、何か失礼なこと考えてないかい?」
「ふふっ、いーえ?なぁんにも、考えていませんよ〜」
「…ハァ、」

緩みきった緊張感のない返事に、今日1番の深いため息がこぼれる。 先程の緊張した様子はどこへ行ったのか…すっかりリラックスしている彼女の様子に呆れながらも『緊張が解けて良かった』と安堵する自分がいて…これじゃあ、彼女に振り回されっぱなしじゃないか…!と何だか少し悔しくなってくる。

「あくましゅうどうし様」
「…なんだい?」

悔しさからイジけたように返事をしてしまう私に、またもや彼女はふふと笑っていたけれど、ふいにピシッと姿勢を正すと、スゥと深呼吸を始める。 そしてその大きな瞳を真っ直ぐ私に向けると、ゆっくり口を開いた。

「改めまして…これから、よろしくお願いします!」
「っ、!」

キラキラと希望に満ちた、光り輝くような笑顔。 その屈託の無い純粋な笑顔があまりにも眩しくて…私はつい言葉に詰まってしまう。

「?あくましゅうどうし様?どうかしましたか?」
「えっ?、あっ、ご、ごめん!…えっと、こちらこそ、これからよろしくね。 おんなドラキュラちゃん!」

彼女の声に我にかえった私は、慌てて彼女へ向き直る。 上司部下関係無く、これから共に働く仲間として…そう思い、私も彼女に倣ってきちんと挨拶を返した。

「はいっ!」

元気に返事をする彼女の清々しさに、自然と笑顔が浮かんでくる。 そんな私の微笑みに、彼女はとても嬉しそうにはにかんでくれて…そのあまりにも可愛らしい仕草に、私はまた性懲りも無く胸をドキリと高鳴らせてしまうのだった。






「なんつーか…昔から変わんねぇんだな、あいつ…」
「あはは…確かに無自覚に人を魅了するところは、昔から変わっていないね…」
「ウフフっ…なまえは本当に人たらしよぉ?ウチのボスまで手懐けてるくらいだし♪」
「そう考えると…恐ろしいやつだな、あいつ」
「十傑集のうち、ふたりが完全に堕ちてるなんて…もしかすると、魔王城で最強なのはなまえなのではなくて…?」
「「「「………」」」」

アルラウネの言葉に、皆が黙り込む。 それは彼女の言葉を肯定しての沈黙なのか…それとも、自分もなまえちゃんの虜になっているということを隠すための沈黙なのか…はたまた、そのどちらもという可能性も……

「ま、まぁ、それはともかく…!!人事異動の件は、よろしく頼んだぞ!…よし!あくましゅうどうし!改!腹も減ったことだし、食堂へ向かうとするか…!」
「そ、そうですね!早く向かいましょう!」
「き、奇遇ですね!私も腹が減っていたのです!魔王様!」
「あ、あら…!もうこんな時間でしたの…っ?そ、それはお腹も空きますわっ!」
「は、話し込んじまったしな!…そんじゃあ、俺も、もう行くわ…!」
「お、おう、俺も行くぜ…!じゃあな…!」
「あ、ああ!お疲れだったな…!ポセイドン!かえんどくりゅう…!」

なまえちゃん最強説を有耶無耶にするためなのか、魔王様は慌てて声を上げる。 皆もそれに便乗してわざとらしく話を合わせ、何とかこの場が収まるかと思った、その時。

「なまえも罪な女よねぇ…(この場にいる)十傑集全員を虜にするなんて!」
「「「「どうしてそれを言うんだよっ!?!?」」」」

皆の盛大なツッコミが、見事に重なった。 しかしそれは、全員が彼女に虜になっていることを表しているわけで…彼女のあまりの人気の高さに、私は何だか複雑な気持ちになってしまう。

「あんらぁ〜!…ごめんなさいねぇ?ウフフっ」

そんな私の気持ちを知ってか知らずか…謝る気があるのかと問いたくなるほど陽気に謝罪をするシザーマジシャンの声が、会議室に響き渡る。 そんな彼の楽観的な態度に、私は思わずハァと深いため息を吐いたのだった。



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