▼04
「ん…」
ゆっくりと起きあがる黒髪…マグナスを見やる。服装はベットにうつぶせで眠っていたせいだろうがやや乱れているが客員剣士の制服のままだ。
目元を擦っていたマグナスと目が合ってしばらくは見つめ合っていたが、勢いよく起き上った彼に首をかしげた。
「起きていらっしゃったのですね…」
「ついさっき起きたばかりだがな」
僕を運んだのは君か?というと小さく頷いた彼にそうか、と返すとゆっくりとあたりを見回す。
…内装からして、ここはソングラム氏のオフィス…だろうか。
「ここはどこかわかりますか?」
「…ソングラム氏のオフィスか?」
そう問うと、小さくうなづくマグナス。
予感的中…だな。
「あれからどれくらいたった」
約1日です。と帰ってくる返事にうなった。
1日も寝ていたのか、僕は…。
「すまんな、僕はもう大丈夫だ。準備ができ次第出発しよう。」
そういってベットから出ようとするとあわてたマグナスにベットに戻される。
何なんだ一体。
「まずはこれからのことと目的地のことについて話させてください。」
…仕方ないか。と思いつつベットに大人しくおさまる。
ついでだからこの一日何があったかも聞いてみようと問いかける。
「僕が寝ていた1日の間、何があった?神の眼はどうなった」
「…神の眼は持ち逃げされました。エリュシオン様が倒れられている間に情報収集をしたのですが、どうやら奴らが逃げ込んだのはノイシュタットのようです。」
「…となると…次の目的地はノイシュタットか」
はい。と頷いたマグナスを見てすこし考え事をするがその考えを四散させる。
布団にもぐりこませていた手を布団からだしグー、パーと繰り返し違和感がないか確認する。
やはり一日寝てたせいか違和感はやや残るが、旅と先頭に支障があるような程度のものではない。
「…そうか。すまないな、世話をかけてしまい。」
今すぐ準備をする。少し待っててくれないか。
そういうと素直にうなづき部屋を出て行ったマグナスを見て小さくため息を吐いた。
「…ノイシュタット、か…」
あいつに連絡を取らなければな…。
おそらくソングラム氏に借りたのであろう衣服に手をかけ近くのハンガーに掛けてあった僕の軍服に着替えつつもそう考えていた。
「おーいリオン、お待たせー!」
その声が聞こえ、ゆっくりと眼鏡をしたまま視線を窓へ向けた。
そこにはマグナスのもとへ向かっていく4人の姿。
眼鏡をしたまま本にしおりをはさむとがたりと音を立て椅子を引くと、立てかけていたマントをはおり出口の扉に手をかけ歩き出した。
「悪い!遅くなっちゃって」
「わかったの?グレバム達の行先」
そういうカトレットに片腕を上げるマグナス。
「神殿で救出した情報屋にようやくつかませた。とはいえ、出遅れている事実は変わらん」
そこで一度言葉を切るマグナス。
わずかながら聞こえるその会話を聞きながらマグナスたちのもとへ行くため船着き場の石でできた道へと歩いていく。
「自体は一刻を争う。」
かつん、という音とふっとマグナスが笑ったのは同時だった。
「次の目的地はフィっつガルド南部ノイシュタット。」
ちら、とこちらへ視線を向けてくるマグナスに小さくうなづく。
準備は万端だ、いつでも出発できるぞ。という意味を込めて…だ。
それを把握したマグナスは再びエルロンたちへ視線を戻した。
「さぁ、出発だ!」
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