―お前のことだから、どうせ引きこもるつもりなんだろ―

そう言って大学に入学した時に出来た友人である、横澤隆史という人物に「読書愛好会」というサークルに引きずり込まれてから早三年になる。人付きあいとか面倒だし、大学は高学年になればなるほど講義数も減るわけで、その人間関係の希薄さが良いよな、とうっかり奴に漏らしたところ、お前マジで何言ってんの?と、どん引きされた挙句、その後すぐに訳のわからない場所へ強引に連れ込まれた。

そこが、此処。まあ、サークル棟と言って、建物一つが全て学生共のサークル活動の本拠地となっている場所だ。文書偽造罪とまではいかないが、ほぼ似たような行為を友人とサークル会員にされた挙句、そのまま入会が決定してしまった。会長が横澤君マジ神様!とかなんとか、横で言っていたような気がする。まあ、活動内容が自分で読書して、面白かったものを他の人に貸して、最終的には皆でどうこう話し合う、という割とどーでもいいもので。大学のサークルなんてものは大抵どうでもいいものなんだろうけど、ああ、本当にどうでもいいんだな、と思ったのも懐かしい記憶だ。

それでも、自分で本を読んで貸して、適当に話すくらいなんてまあ、許容範囲か、と自分に言い聞かせて仕方なしに妥協した。ここで納得しなかったら、俺の友人はどうやら俺を肉体派の運動部へぶちこむつもりでいたらしい。うん、ほんっと友達がいの無い奴だ。そんな危機的状況?を乗り越えて、なんだかんだと大学生活に慣れた三年目を迎えた春。またもや俺に無理難題が降りかかってきたらしい。やったー!新入部員つれてきたよー!と、意気揚々と豪快にドアを開けたサークル会長の背後に隠れた、何とも弱々しく頼りなさそうな小さな存在。それをやっとのことで確認したとき漏らした、あ、という言葉。

「…あ、あの。はじめまして。お、小野寺律と申します」

…ああ、知ってる。


コイツ、昔俺のストーカーだった奴だ。






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