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2013.11.09.Saturday
klädöm 1
あくる日、籠の鳥は動かなくなっていた。青い翼の鳥だった。高い鳴き声がお気に入りだったのに。少女は傍らの少年に問うた。どうして動かないの?昨日までは動いていたのに。少年は答えた。死んだんだよ。どうして死んだの?さあ?自由になりたかったんじゃない?
青い鳥は居なくなっていた。代わりに紙飛行機が窓辺にいた。薄いピンク色の紙で作られたそれは軽く、投げると真っ直ぐに空を裂いた。しかし失速。数メートルで地に堕ちた。拾い、再び放る。それは先程とまったく同じ軌跡を描く。「君は何処から来たの?」勿論答えはない。
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2013.11.09.Saturday
錬金術
先人達が追い求めた結果。まさか自分が成し遂げようとは。恍惚に口角があがる。机上には捻れた試験管、汚れたらフラスコ、そして黄金色の物体。早くこの成果を纏めて仕舞わなければとペンを取る。「御苦労様でした。」振り向く間もなく机が朱に染まった。
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9
2013.11.09.Saturday
星の降る丘の上で
「あれはミラでしょうか?」望遠鏡を覗いていたら突然声がかかった。首を捻ればまだあどけなさの残る、しかし少女とは言えない女性。「さあ?」「望遠鏡を持ってらっしゃるのに。」「持っているからと言って詳しいわけではありません。」「そう。」彼女は気にしていないようだった。
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8
2013.11.09.Saturday
『あげる』
手のひらに落とされた小瓶。中身はやけにきらきらした何か。
『何これ』
光に翳せば虹色が見える。
『星の欠片。僕の宝物。君だけに分けてあげる』
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7
2013.11.09.Saturday
それを認識したくない。そう思う前に視覚はそれを捉えて、思考はそれを判断していた。即ち、彼女の死だ。地に堕ちた手をそっと握る。もう冷たい。辺りを染める鮮血とは裏腹に、閉じられた瞳は穏やかだった。握った手の甲に唇を落とした。
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