私は物心ついた時にはすでに『あなたは跡部に嫁ぐのよ』と言われて育った。
だからその為に勉学やマナー、バイオリンなど様々な事を習ってきた。
けれど全然苦ではなかったの。
将来私の夫となる景吾さんは何もかも完璧だった。
だから私も景吾さんが恥ずかしくないように、と思ったら頑張れた。
だって私は景吾さんが好きだから。傍に居たいって思ったから。
生まれも育ちもイギリスだった私。
そんな私もお父様やお母様の故郷である日本に行くことになった。
今までも数回だけ行ったことがあるけど、殆ど覚えていない。
景吾さんは中学生になる時に帰国した。
私はお父様のお仕事がまだイギリスでやらなければならなかったから一緒には行けなかったけど、月に2回景吾さんと電話をしていた。
でもそれは1年ともたずに終わってしまった。
お母様伝に景吾さんは生徒会長とテニス部の部長をしていると聞いたから忙しいのでしょうと思いあまり電話をかけることもしなくなった。
……かけても出ないから、というのもあるのだけどね。
そんな景吾さんと1度も会うことなく、声を聞くことも出来ない日が約2年半続いたけど、やっとお父様のイギリスでのお仕事が終わり遂に私は念願の日本に住むことになるのです。
不安だってあるけど、景吾さんが居れば大丈夫。

そう思っていたの。
あの頃は。



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