「あの、これは…?」

「あぁ、やっぱり知らん?」


古典を教えてほしいと言われ、早速その日の放課後勉強することにした。
俺も丁度部活なかったし。
ほんで折角やから知らないだろう某大手ファストフード店に連れてきてみた。
あれや、Mのマークや。
放課後という事もあって店内は学生で賑わっている。
席で待たせようかとも思ったが、きっとこんな注文したことないだろうなと一緒にメニューを見る。

「こんなかから好きなん選んで」

「はぁ、」

そう言う咲柚美はその価格に驚いていた。
安すぎます…て呟くの聞こえたで。
そして値段に驚いた後は速さに驚いている。
大きな瞳を更に見開いて俺を見上げてくるから思わず笑ってしまった。
可愛らしい。

「世間にはこの様なお店があるんですね…」

席に座った咲柚美は若干放心状態で店内を見回す。

「珍しいやろ?」

「はい、とても」

聞けば先程とはうって変わって瞳をキラキラとさせながら興味深々とばかりにこちらを見る。

「なら今度違う所連れてったるわ」

「いいんですか?」

「勿論や」

「ありがとうございます!」

心底楽しみだという表情でこちらも楽しくなる。

それから古典の勉強をするが、元々理解力のある咲柚美は教えてやれば早々に飲み込んでいった。
これは教えがいがある。

「なるほど、こうですか?」

「そうそう。飲み込み早いな」

「忍足さんの教え方が上手なんですよ」

出来た子だ。



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