‖11 時は流れ私は六番隊の隊長に就任していた。 その頃には彼方も十二番隊の隊長だ。 相変わらず自由気ままに過ごす彼方だが忙しい隊長職の合間、あいつに会うと肩の力が抜けどこか安心するから不思議だ。 そんなある時、流魂街に虚が出たと報告を受け討伐に出向いた。 それが緋真との出会いだった。 護らなければならないと思った。 戌吊という治安の悪い場所で一人、孤独に生きている。 まだ若い女性が。 それが愛等の類でないことは分かっていた。 何故ならその時既に私は彼方を愛していたからだ。 随分昔に自覚させられたのだからな。 緋真に抱いた感情はきっと娘にするようなものだろう。 しかし私は護る術を知らなかった。 私の妻として迎え入れる事しか思いつかなかったのだ。 それは掟に反する事だと承知の上。 それでも緋真を護ってやりたいと思った。 「白哉の思うようにしたらいいんじゃないかな」 周りには当たり前だが反対され、それを聞いた彼方にそう言われた。 「もう当主なんだから。堂々と、白哉が正しいと思うなら実行すればいいのよ」 その言葉だけで今までが嘘のように起こした行動は早かった。 式は執り行わず、杯を交わしただけだったが、緋真は朽木の人間になったのだ。 これで不自由なく暮らせるだろう。 私はあまり邸に帰ることは出来ないが家の者が居る。 彼方も居る。 緋真は彼方と居る時楽しそうに笑っていた。 良かったと思う。 だがそれも僅か5年という短い時間だった。 妻として迎え入れたのがいけなかったのか。 何故義妹ではなく妻としたのか。 当時の私は珍しく切羽詰まっていたのかもしれない。 義妹という選択肢が出てこなかったのだ。 妻でなければ気苦労なく病を悪化させることもなかっただろうか。 沈んでいた私の心を浮かばせてくれたのも彼方だった。 「まだやることがあるでしょう?緋真さんに頼まれたのでしょう?」 そうだ。 緋真の、最後にして唯一の願いだ。 緋真の妹、ルキアを探さねばならない。 その数日後、ルキアを私の妹として朽木家に迎える事となる。 [*前] [次#] |