それは昔から

「静希」

隊首室で書類整理をしていた所、名前を呼ばれ振り返ると、そこには随分見馴れた奴の姿。

「春水。どうした」

女物の羽織を揺らしながら椅子に腰掛ける昔馴染みを横目にさっさと手に持っていた書類を棚に片付ける。

「いやね、今晩酒でもどうかなと」

笠を少し上げながら言う春水に頷きながら正面の椅子に座った。

「いいけど、どうしたんだらしくない」

酒の誘いはいいが、いつもはこんなではない相手に首を傾げる。

「んー、なんだか当分、ゆっくり出来なくなるんじゃないかなと思ってね」

確信ではない。
だが有り得なくもない。

「…あぁ、そうだな。そうかもしれない」

ついに来るのだろう。
最近嫌な予感がしてならないからな。

「十四郎は」

「この後行ってみるさ」

「そうか」

変わらない、昔から。
へらへらしているが鋭い。

「懐かしいな…」

「あぁ、そうだね」

懐かしい。
あいつらは元気にしているだろうか。



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