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「え〜〜〜〜!?」

「っ!何!?」

隣である吾郎の部屋から聞えた叫び声に着替えていた妃は肩を跳ねさせた。
急いで隣へ行けばどうやら制服のことでもめているらしい。

「なんだぁ、もうびっくりした〜」

「ほらっ妃もセーラー服だから!」

ごめんごめんと謝る桃子に渋々学ランを着る吾郎。
それを見て笑いながら行くよ〜と声をかける妃。


「吾郎は昨日来たんでしょ?」

「おぉ、小森たちとも会ったぜ」

「キャッチャーの子?そっかー私も会ってみたいなぁ」

職員室に寄って教室に向かう最中。
福岡に居る時からずっと聞いてきた吾郎の野球仲間の話に妃はうきうきした様子だ。

「お、小森じゃねーか?」

「え?どこ?」

「目の前の。ウーッス!」

「あ、本田くん!と、?」

「初めまして、八尋妃です」

「こちらこそ初めまして、小森大介です」

「大林雅彦です」

教室の前で自己紹介をして中に入れば、すでに室内に居た生徒は驚いた顔をする。
結局もう一度自己紹介するはめになった。


「そっか、じゃあ吾郎くんとは兄妹になるの?」

「ううん。従兄妹」

「え、でも」

「養子縁組はしてないんだ。苗字八尋でしょ?」

「あ、ほんとだ」

「どうして?」

大林にそう聞かれ、一切悩むことなく即答する。

「だって吾郎が好きなんだもん」

その言葉に顔を赤くする大林と、目を見開く小森。

「従兄妹だったら結婚だって出来るでしょ?」

にっこり微笑むその姿は美しかった。

「だ、だったら本田君と行かなくてよかったの?」

「え?あぁ、久々の再会らしいから。邪魔したくないもん」


吾郎はお弁当を食べてた後昔の野球仲間である清水に会いにいったのだが、妃は小森と大林と一緒に部員集めをしていた。

「テニス部!?」

しかし退部していったメンバーを戻そうにも誰一人その気はないようだ。

「一体どうなってるんだ....?」

小森のその言葉とほぼ同時に後ろからの足音。
妃も二人が振り返ったのと同じように見れば長髪の男子生徒。

「こんにちは....」

その生徒はニヤリと気味の悪い笑みとあいさつを残して去って行った。
襟元のバッチを見る限り3年製のようだ。

「誰?」

知り合い?と二人を見れば狼狽えたような大林に思案顔の小森。
二人の顔色を見ればただの知り合いではないというのが分かる。

「...」

嫌な予感しかしない事態にため息をつきそうになる。










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