ないしょ!(進撃/アルミン)







立体機動装置の手入れを一緒にしようと誘われたのは2、30分前といったところだっただろうか。

分解して細く手入れをしていく中、作業はそのままに他愛もない会話が弾む。
会話しながら手入れをできるのは、この作業を何度もしている内に慣れたからだ。


会話は、最初にされた「訓練には慣れてきた?」という質問から大分それて、恋愛方面の話へ。


「ジャンとかベルトルトとか…その辺って見てて分かり易いじゃない?」

「あー…そうだね。分かり易い。」

名前が出てきた彼らは他人から見てその好意が分かり易すぎる行動をしているためそういうのに疎くなければすぐに気付く。

「だって二人とも目、好きな相手を追っちゃってるもん。」

「まあ、なまえはそーゆーのは誰よりも敏いよね。僕が気付いたのは最近だからね」


えーわかりやすすぎる反応をする方が悪いんだよ!
と返すなまえに、
アルミンは自分に対するそれには鈍いのにと胸中に腑に落ちないもやもやが広がる。

他人同士のわかりやすすぎる反応にはすぐ気付くくせに自分自身に寄せられるそれには気付かないなまえに軽い苛立ちさえ覚えてきてるというのに。

これでも最近ではそういう色恋沙汰に疎い幼馴染み2人にでさえ気付かれたほど随分なまえにアプローチしているのだけど。



「ねえ、なまえ。他人の恋愛も良いけど、自分自身の恋愛はどうなのさ」

「えー…好きな人は…実はいたりするよ?」

「え!?」


まさか好きな人がいるだなんて思って無かった。
なまえは好きな人ができたらすぐに相談だったり惚気けだったりをする人だと思っていたから。

アルミンに話したく無かったというのならそれはそれで悲しいが、それまでなのだが。


「だっ…だれなの?」

いつからだろう。
ふと気が付けば、いつの間にか手入れをしていた手は止まっていた。

それはなまえも同じようで、ただ違うのはアルミンは手入れしていたブレードを持ちながら固まった状態だったのだが、彼女は手に持っていた道具であったり装置の部品であったりというものをいつの間にか全て机の上に置いている、というところだ。




「えー…」


暫く勿体ぶって、やっと口を開いた!と思ったらそれは






「ないしょ!」







というなんとも残酷な一言だった。




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最初はちゃんとヒロイン目線のつもりだったのに何故かアルミン目線になっちゃった!


つづく かも。