あおいそら

外科医

「今日は何の日か知ってるか?」

 唐突なローの発言に、乗組員達は全員首を傾げている。
 私もそれに習うように首を傾げたが…一つ、思い当たった。

「えっと、もしかしてクリスマス?」

「…あぁ」

 私の発言に頷いたローは私に手を差し出し、プレゼント寄越せ。と言い放った。
 そんなもの忘れていたというか、こっちにそういう風習があるなんて知らなかったので準備なんてしていない。
 仕方がないので、正直に答えた。

「ごめんなさい、準備してませんでした」

「だろうな。
 …代わりにアオイの時間を貰う」

 ニヤリと笑ったローに腕を引かれ、丁度船舶中の冬島に連れて行かれた。…でも、私を連れ出すだけなのに、なんでわざわざ皆の前で言う必要があったのだろうか?
 分からないことを考えている間に、ローと一緒に店に入った。
 どうやら服屋のようで、冬物のコートをメインに色とりどりの洋服が掛かっている。

「コレとコレを買う」

 ローは店内を一周して、女物のポンチョとワンピースを一つずつ選んで店員に渡した。
 そして、ここで着替えさせても良いか?なんて許可を店員にもらって…私はワンピースとポンチョと共に更衣スペースに押し込まれた。
 渋々ローが選んだワンピースを着てみると…どことなく大人っぽい私好みのデザインで、サイズがピッタリだった。怖い。
 くるり。と回りながら鏡でチェックして、ポンチョを羽織る。
 ポンチョはモコモコで触り心地がいいが…ローの帽子と同じような柄なのが気になる。

「着替えましたけど…?」

「そうか。…行くぞ。」

 行為スペースから出ると、私を一瞬上から下に見た後、来たときと同じように私の腕を取って歩き始める。
 本当に自由人というか、俺様?だなぁ。と遅れないようについて歩いていると、街を通り抜けて小高い丘に着いた。

「…見てみろ」

 顎でさされたその先あったのは、オーロラで。…とても幻想的で綺麗だった。
 もしかして私にコレを見せたかったのかな?とは思ったが、それよりも。

「なんで私この服…?」

「俺からのクリスマスプレゼントだ」

 似合ってるぜ。と珍しく笑ったローを見て、冷え切っていたハズの身体が温かくなるのを感じた。

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