▼ 次男
事前にコレを着てきてね!と渡した、猫耳メイド服を身にまとったカラ松が部屋に入ってきた。
あんな格好で堂々と歩けるとかヤバイ…。とか思いながら迎え入れる。
「…なんで俺、こんな格好させられてるの?」
「いい質問だね!
その服はカラ松ガール…じゃなくて、カラ松女神からの贈り物の一つだよ!」
ピラリと裾を摘んだカラ松にウィンクをしながら答える。
カラ松が、え?と首をかしげたのを見てから、100本のレインボーローズの花束を押し付ける。
薔薇の上には小さなサングラスとメッセージカードが乗っている。
「お、おおぅ…」
「まずは、薔薇という女神さまが沢山おられたので…まとめました。
あ、まとめられなかったコレも渡しておくね」
1輪のブルーローズをカラ松の頭に付けて、パシャリの記念写真を撮っておく。
相変わらず理解が追いついていないようで、ポカーンとしているカラ松を放置して話を進める。
「それから、マトモな服にちゃんとしたタンクトップ、カラ松の顔写真の鏡…ネックレス・ブレスレット・リング。
アクセサリーは1部私とお揃いです」
机にプレゼントを並べてから、チラリとお揃いのアクセをカラ松に見せる。
途端に嬉しそうな表情で服を着ようとしたのを全力で阻止して、次のプレゼントを首に巻き付ける。
「女神さまご指定の、ちょっと高めのマフラー…カシミア50くらいです」
「5月にマフラー!?」
「それから、クマのぬいぐるみです。
どことなくカラ松に似てる気がしなくもない…そんなぬいぐるみです」
猫耳メイド服でマフラーを巻いたカラ松にぬいぐるみも渡してから、ガラガラとカートを持ってきて、テーブルに並べていく。
「次は食べ物です。
梨ケーキ付きのフルコースをご用意しました…ミスターフラッグが」
「おめでとうだじょー」
一瞬顔を出したハタ坊をスルーしつつ、カラ松をイスに座らせてフォークとナイフを持たせる。
ちなみにフランス料理である。
「最後は目に見えない物です」
モグモグと料理を食べていたカラ松は手を止めて私を見つめる。
正直、気にせず食べていて欲しいんだけど…しょうがない。と気合いを入れて口を開く。
「カラ松、今まで本当にありがとう。
ウザいけど、本当は優しいカラ松が大好きです。
これからもよろしくお願いします!
それから…カラ松の明日を私にください!!」
初っ端から赤くなっている顔を隠すように勢いよく頭を下げると、ガタリと立ち上がったカラ松に抱きしめられた。
…嬉しい!と思うと同時に猫耳メイド服なのを思い出して複雑な気持ちになった。
「フッ、俺の明日はアオイにあげるが…その代わり、アオイの明日は俺が貰うぜ?」
耳元で凄くイイ声が訳の分からないことを言っている。
とりあえず無視しながら抱きしめ返していると、バーン!とうるさい音をたてて扉が開いて、この部屋に六つ子ちゃんが全員揃った。
一体何の用だろう?とカラ松と2人で首をかしげる。
「あ、いたいたー。
いやー、探したよ?」
「邪魔してごめんね?
僕達も用事があるんだ」
「もう、さっさと言っちゃう?」
「カラ松兄さん、誕生日おめでとぅー!」
「…おめでと」
「もー。抜けがけはダメだよ、十四松兄さん!」
「はぁ、仕方ないな…。
とりあえず打ち合わせ通り、せーのでもう1度言うか…」
「せーの!」
『誕生日 おめでとう!』
ニッコリと笑った…いや、一松は全く笑ってないけど…兄と弟4人に祝福されて、カラ松は嬉しそうに微笑んだ。
まぁ、六つ子だから私以外は今日が誕生日なんだけどね…。
実は凄く大きい梨ケーキを切り分けて、みんなで食べることにしよう。
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